Abissale solitudine－海の底に消えた鍵－ Ⅳ (ページ18)

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標的134【目の前でプロポーズが展開されてます、草壁です。】ページ18

初めは、敗北からの執着かとも思ったが、それにしてはやけに璃王に過保護な気がした。
　委員長が力を認めて一目置いているリボーンさんやディーノさんとは違い、璃王に対しては一度戦った後で二度と対戦は申し込まなかった。
　極めつけは3ヶ月前、璃王が血を吐いたという事件があった日。
　あの日の委員長を目撃した時、委員長は明らかに動揺していた。
　血相を変えて保健室に飛び込んでいくのを見たのだ。
　普段から璃王に対しては、吹き飛ばされないように、壊されないように、壊さないようにと大切にしているように見えた彼らの関係を不思議に思っていたが……今のこれですべて納得がいった。

「まぁ、そんな訳だから、これからも今まで通り宜しく」
「あ、あぁ、分かった」

　この後で、名前はリオン・ヴェルベーラであると判明した。

―― ――

　その後、書類の整理をするリオンと委員長、何故かその場に残ってしまった自分が応接室でそれぞれ作業をすることに。
　自分は何もしていませんが。
　リオンが書類をまとめ終わると、委員長がリオンに声をかける。

「そうだ、リオン。
　そろそろ君にこれを渡そうと思っていたんだ」
「何？」

　名前を呼ばれて首を傾げるリオン、委員長はそんなリオンの座っている目の前に来て、膝を着いた。
　リオンは驚いて目を瞠るリオンと目が合った。
　自分もかなり衝撃を受けています。
　まさか、委員長が他人に跪く所を見ることになろうとは。
　驚くリオンを尻目に委員長は、リオンに腕章を差し出した。

「――これは」
「風紀委員会副委員長の腕章。
　君にこれを渡したいんだ」

　リオンの手を取ると、雲雀はリオンの掌に腕章を乗せる。
　物がモノならプロポーズをしているように見えるのだが、委員長にはそんな自覚は全くないだろう。
　リオンも固まってじっと腕章を見つめている。
　せめて、別の渡し方ができなかったのか、この人。

「えっと……それはつまり、これで遠慮なく僕をパシれる、と」
「何でそっちに思考が行くの」

　数秒の間を置いた後、漸く口を開いたリオンの言葉に委員長の呆れたような声。
　まぁ、リオンから見るとそうなりますよねー！！今まで散々、リオンをパシってきていたのだから。
　せめて委員長、そこは別の言葉があってもよかったのでは。
　なんでこの人はこう、不器用なんだ。
　もっと器用にならないと、リオンを他の人に取られてしまいますが。