転生したらシスコン音柱の妹でした

薬 ページ30

......。

　嫌な夢を見た。

　私は顔をしかめる。

　ゆっくりと息を吸い込んで吐く。

　外はもう暗い。月明かりだけが空を照らしている。

　『天兄に帰らないこと伝え忘れちゃった』

　怒られるかな？

　まぁ、いいや。

　この夢を見るのは初めてではない。不規則に定期的に見るのだ。

　忘れてはいけないから。私は殺人犯で、皆のように幸せになってはいけないことを。

　だから、夢を見るのだ。

　この夢を見たあとは必ず脱力する。とても疲れる。休まった気がしない。

　『明日はお館さまにご挨拶しないといけないのに...』

　再び布団に潜り目を瞑る。





　...まぁ、寝れないわな。

　水でも飲もう。

　立ち上がり階段を下りる。

　......。

　どうしよう。

　頭がボーッとする。

　よたよたと玄関に歩く。

　この辺に気休めにしかならないけど薬が＿＿。

　義「っ！！何処に行く！？」

　バタバタという音と共に義勇が駆け降りてくる。

　『何処にもいかないよ。薬を飲むだけ』

　義「薬？」

　あ、薬について知っているのは私と私の面倒を見てくれていた炭治郎くんだけだったんだ。

　忘れていた。

　『何でもない。忘れて。さて、寝室に戻ろうか』

　立ち上がるがまだふらふらする。

　義「大丈夫か？」

　『ん...』

　支える義勇の手をやんわりと剥がし壁を伝って寝室に戻った。

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