過去 ページ29
私は、病弱だった。
両親は優しくて、私は沢山のものを持っていた。
健康以外の。
産声もあげられないほど体が弱く一時期は本当に死にかけていたらしい。
子供の頃の記憶は病院しかない。
ずっと白い部屋に一人だった。
座って、本を読んだり、絵を描いたり、ほとんど歩いた記憶もない。
両親は私に毎日会いに来てくれた。
そのうち私は小説を書いて他の部屋の子に読ませるようになっていた。
元気になって、頑張って欲しい。そう思って一生懸命かいた。
でも、ある日それはすべて壊された。
私の本を好きだと言って、一緒に本を書き、手紙のやり取りもしていた子が死んでしまったのだ。
その子の母親にはものすごく責められた。
いま思えばやり場のない怒りを私にぶつけていたのだと思う。
私が泣いていないところ見て、人でなしと罵った。
小さい私はショックだった。私は本を書かなくなった。
それから三年ほどして、母がおかしくなった。
鬱だった。
私のせいだと誰も言わなかった。
笑顔で私の頭を撫でていたかと思うと急にどなりだし、刃物をもって私に切りかかろうとする日もあった。
その後、母は死んだ。自分で自分の喉を切って死んだ。
遺書には私を責める言葉が延々と書き綴られていた。
私は母の心を壊し、死に追いやった。
母方の祖父母はその後、母を追うかのように亡くなった。
祖父は心不全、祖母は脳梗塞だった。
ゆんと出会ったのはそれから六年ほど後だ。
私の病室に訪れる人は今やゆんとお手伝いの沙織さん、病院関係者だけだった。
けれど、沙織さんは私のことを嫌っていて生活に必要なものと入院費の振り込みをしたらさっさと帰っていった。
ゆんは私に鬼滅の刃を教えてくれた。
面白かった。楽しかった。悲しいことがあっても乗り越える主人公に憧れると共に恨めしくも思った。
まもなくしてゆんは死んだ。
手術に失敗したのだ。
ゆんも私に遺書を残していた。始めて見る私を責めていない遺書だった。
涙がこぼれた。沢山の気持ちがぐちゃぐちゃになった。
そんな私が死ぬ間際に聞いたのは__。
父の、やっと厄介者がいなくなった。という言葉だった。
ーーーーーーー
どこで終わらせれば良いのだろうか。終わり時を失った気がする...。
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胡桃 - ゆるさん» ありがとうごさいますっ!! ゆるさんのコメントでもう少し連載しようかなぁと思った今日この頃です(笑) (2020年5月28日 20時) (レス) id: c16ba4f52a (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月28日 10時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ここま - 派手派手だぁ!! (2020年5月6日 8時) (レス) id: 233309ccbd (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - lameさん» 更新できていなくてすみません。 派手派手だぁ!! (2020年4月30日 8時) (レス) id: c16ba4f52a (このIDを非表示/違反報告)
lame - 派手派手だぁ。 (2020年4月27日 11時) (レス) id: 5b3df30761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡桃 | 作成日時:2020年3月26日 10時