ぐるぐる ページ22
「ここさ、多分半拍遅いわ。」
「あれ？ほんまや。」
「イントロ1、2からの入りやから。」
「うわ〜！やらかしてた。ありがとう。」
ツアー中の練習はいつもに増して気合いが入る。
そろそろ中盤の折り返し地点やから今までの反省もどんどん活かしていかなあかんし。
「小島ー？」
「はいはい。」
「琉生どこいってん。」
「るーちゃんならここで…って、おらんやん。」
誠也くんに言われて後ろを振り返ってもさっきまで休憩してたるーちゃんの姿は消えてて。
どうやら誰もその事には気づいてへんみたいやった。
「水買いに行ったんちゃう？喉乾いたって言うてたから。」
「あー、なるほどな。」
「ほんならもう５分くらい経ったら再開しよ。」
大晴が言ってんのも一理あるわって特になにも気にせんとさっき撮ったダンス動画に目を向けた。
＊
「っ、はぁ…」
自販機横のベンチで買ったばかりのミネラルウォーターを手に握りしめて目を伏せる。
練習中に感じた違和感は本物に変わってきて目の前がぐるぐると回って俺の視界を蝕んできた。
「ぁと…ごふん、」
なんとか見えた腕時計が指す時間は18時15分。
5分だけ、あと少し休んだら治るはず。
そう思って目を閉じた。
「…ん、っ…へ、あれ…？」
手の中からペットボトルが抜け落ちた感覚に気づいて目が覚めた。
「やば、っ」
さっき見た時間からは5分どころか10分近く経ってて。
でも数分前よりは良くなってる。
「はよ戻らな。」
結局立った時に感じた立ちくらみは知らないふりをしてかけ足でレッスン室に戻った。
「すみません！遅れました！」
「おぉ。戻ってきた。」
「遅かったやん。」
「あの、トイレ清掃中で上行こうと思ったんやけど点検中でさ。大回りしてもうた。」
まさか体調悪くてベンチで寝てました、なんて言えるはずもなく。
まぁ、でもエレベーターが点検中なんもトイレがこの階と2個上の階にしかないのも事実。
清掃中、は嘘やけど。
「…さくら、なんか顔色悪い？」
「気のせいやって。照明強いし、ここ。」
「ん、そっか。ごめんごめん、気になっただけ。」
晶哉の口から漏れた言葉にドキリと胸が高鳴りながらも冷静に躱す。
こういうとこ鋭いねんな、晶哉は。
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ぽむ(プロフ) - こちらこそ余計なお世話を申し訳ございません🙇琉生くんが猫に嫉妬したりする話可愛かったです！これからも更新楽しみに待ってます！ (5月10日 21時) (
レス) id: 7e6c597a49 (このIDを非表示/違反報告)
i(プロフ) - ぽむさん» コメントありがとうございます🙇🏻紛らわしくしてしまって申し訳ないです。設定変更しておきます😭 (5月10日 17時) (レス) id: c771cdb231 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - 初コメントです。琉生くん可愛くて楽しみに読んでいます。ときどき、iさんの小説が更新されていないときに更新通知が来るのですが、もしかして新しい小説の更新がないときは「更新を通知しない」みたいな設定もできるみたいです〜 (5月10日 14時) (レス) id: 7e6c597a49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：i | 作成日時：2023年3月15日 17時
