君との距離～読み切り～ (ページ9)

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youside

紫『へぇー大吾くんとやらはええ子なんやねー』

『え？これええ子って言うん？』

紫『あ、ちゃうなこれは……その大吾くんとやらはAちゃんに気があんねんな』

『え？なに言うてんねん！大吾はただの幼なじみやで？』

大吾との口話の話をうんうんと聞いてくれる優しい

天然名古屋ボーイの平野は

私と違って難聴やからちょっとは音が聞こえるらしい

大吾と高校から別になって

初めての私と同じ聞こえない友達

紫『普通ただの幼なじみなら俺やったら教えんな(笑)Aちゃんのことも尊敬！俺やったら絶対口話なんかしたないもん』

『じゃあどうやって気持ち伝えるん？』

紫『伝えへんなー』

『そっか…』

紫『大吾くんとやらは優しいかもしれんけどさ……
結局聞こえへん俺らとは長続きせぇへんもんやで』

『なんでそんなこと……』

紫『あ………ごめんな、』

『いや…………』

長い沈黙

顔もイケメンだしモテそうなのに

昔なんかあったのか

その話になると悲しそうな顔をした

『なんか……あったん？嫌やったらええんやけど……』

紫『俺も名古屋いたころに好きな子おってんけどさ
疲れる言われて終わったわ』

『疲れる？』

紫『言葉もそう、生活も、聞こえない俺らとは全部違うねん』

『でも、がんばれば…』

紫『疲れるのは向こうやろ？』

いつもは訳わからんこというくせに

平野の言うことが正論過ぎて

なんも言えん

紫『でも、健人先輩にアタックする気持ちはすごいと思うわ！』

いつもと同じ顔でそんなこと言って

練習がんばりや？と帰っていった