虹がかかる空に＊9＊

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智洋side





智「兄ちゃん…おはよう」





兄ちゃんと暮らして1ヶ月、何がどうなってるかはわからないけど




3日に１回は別人のように怒り出す




でも、それ以外の日はいつもの優しい兄ちゃんで怒ってた時の記憶は一切ない





崇「とも、おはよう。
なんか疲れた顔してんなぁ、仕事大変な時にごめんなぁ…
俺もう大丈夫やから家帰ってええねんで？」

智「あ…うん、いや大丈夫」







夜中でも一度寝ると突然怒り出すことがあると分かってから




また、あいつのところに行くと言い出さないか怖くて俺は寝れなくなった





俺の顔疲れてんのは寝れてないせい、なんて今の兄ちゃんに言われへんよ





兄ちゃんは兄ちゃんなりに、この理不尽さと必死に戦ってる





小さい頃からたくさん可愛がって、ずっと俺のことを守ってくれた





大好きな兄ちゃんのことを見捨てるなんてできない。






智「兄ちゃん、どこ行くん？」

崇「あいつんとこ」

智「待って、俺の話聞いて」

崇「なんで止めんねん、俺はあいつを殴りたいねん」






子供の頃の喧嘩やって、兄ちゃんに殴られたことなんてなかった




今はジムトレーナーやけど、元はボクサーの兄ちゃんに普通の人が力で勝てるわけない





だから絶対に、止めなきゃいけない。






智「辛いな…俺の思ってる倍辛いよな？
やから、俺のこと気の済むまで殴っていいから…やから…やめてほしい」







優しい兄ちゃんを前にしてるのに、声が震えて涙が自然と溢れてきて





ギラギラした目の兄ちゃんに殴られた







智「っ…げほげほっ…
兄ちゃん、笑わなくていいよ怒っていいんやでっ…もっともっと怒っていいんやで」

崇「何いうてんねん」

智「兄ちゃん…大好きやでっ…」






何度も何度も殴られて、全身に痛みを感じるより先に視界がぼんやりしてきた時






大きな音がして兄ちゃんの体が崩れ落ちるのが見えた。

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