虹がかかる空に＊9＊

1銀の指輪(はまかみ) 未来があるなら過去編 ページ47

編成上神ちゃんが登場しますが、未来があるならとは少し設定が異なります。


崇裕side






「落ち着いて聞いてください。
奥様が事故に遭われました、今すぐ警察署まで来てください」






コーヒー飲んでも眠いなって笑ったり、目玉焼きを焦がして笑ったり





いつもの朝やったはずなのに、突然の電話に出たら早口だけどしっかりとその言葉が耳に入ってきて




息が止まりそうになる。






崇「愛の…夫です！
愛は…」

「残念ですが…」






急いで行った警察では暗い廊下に通されて





暗い廊下で警察官にそう言われてもまだ現実味がなかった。





「こちらです、身元の確認お願いできますか」





通された部屋の中には人が寝ていて、警察官が胸元までシートを開ける





キラキラして綺麗だねって2人で決めた結婚指輪が、暗い照明の中でも残酷なくらい光ってて






今朝見た綺麗な紺色のスーツと、中のシャツが血に染まって左手の時計の文字盤は粉々





手足は擦り傷だらけだけど





これは、愛なんだと思うしかなかった。






「あっ…お顔は見られない方が…」







シートに手をかけると、警察官に止められたけど





最後くらい顔を見たくて上まで上げる。







崇「っ………」







さっきから、衝撃の方が強すぎて涙が出てなかったのに





綺麗だった愛の顔が言葉にできないくらい傷つけられていて






悲しいとか感じる前にポロポロと涙が出た。






じゃあ行ってくるね、といつもの笑顔で見送ったのはついさっきのことなのに








どうして目の前には、ぴくりとも動かない愛が横たわっているんだろう。

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