虹がかかる空に＊9＊

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智洋side




俺もしげも、もう迎えにも来ない二度と会うこともない親に傷つけられて





一生消えることのない傷を抱えて、それでも今も生きてる。





智「もしあの人が自分の親じゃなかったらって思ったことない？

しげの親が違う人やったら…しげの足って今も…」





言いかけて出すぎたと思って口を閉じた。





大「ないなぁ…俺好きやもん親のこと。神ちゃんは、嫌いなん？」






純粋な目をして笑ったしげの目は、直視できない






大「俺、たぶん大好きやから車も見ないで追いかけたんやと思う。
愛されてなかったかもしれんけどさ…俺は親のこと大好きやってん、それは今も」





悲しいな、悲しいとかいう言葉じゃ言い表せられない




俺みたいに憎まずにしげは生きてるんや。

　



大「正解とか、ないと思うけど
俺は生まれてきた時に、生まれてきてくれてありがとうって親に絶対一回は愛されたと思ってんねん。
子供って、そうやって生まれてくるんやって信じてんねん」

智「ごめんなっ…そうやって前向きなしげ見てて…イライラした」

大「いいねん、正解とかないって言ったやろ。
神ちゃんも、親のこと好きなんやろ？」







そう、しげの言う通り大好きや。




この、ひなげしにいたらいつかは迎えに来てくれるって信じてた






大「神ちゃん見てたらわかるよ。
頑張ってな、体育祭は神ちゃんに託すから」

智「わかった、頑張るから。
しげ、見てな？」






今は、ここにいるしげがもう家族みたいなもんや






いつでも笑顔のしげに送り出されて、スタートラインに立つ






智「来年はしげも絶対、一緒に走ろうな！」

大「当たり前やろ！」





大きく手を振ったしげの身体は、いつもと同じく少し歪んでるけど




いつもより大きく、逞しく見えた。

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