虹がかかる空に＊9＊

1 瞳の奥で(かみじゅん) ページ11

淳太side

　
　



淳「大丈夫、大丈夫」

智「んーんっ…んーんっ……」







昨日から続く高熱にうなされて緊急入院してて、涙目の智洋





顔も赤いし、拭いても拭いても汗かいてる。





うなされてなかなか眠れなくて４時間、もう深夜の2時。



生まれつきの血液の病気で腫瘍ができて、左足は膝から下を切断した





治療薬の副作用で免疫力がないから、こうやってすぐ熱も出るし



12歳の今でも、体は小さいまま…俺の腕の中にすっぽりおさまってしまう。





淳「しんどいなぁ…水飲む？」

智「ええよっ、おとんは寝てっ」

淳「ともが寝たら寝るから、俺のことは気にせんといて」

　




生まれつきの病院通いのせいか、智洋は親の俺も気遣うくらいのほんまにいい子に育ってくれたけど





少し大人になるのが早すぎて、最近俺のことを突き放すようになったりもして心配になる





淳「ほら、汗かいちゃったし水飲もう？」

智「いいよっ、はぁはぁっ…自分で飲む…」






汗だくのともに水飲ませようと吸飲み違くに持って行ったら




ちょっとイラつき顔で吸飲みを取られたけど




熱でゆらゆら震える手で吸飲み持ってるから、数滴布団にこぼれる




淳「ほら、こぼれちゃうから俺持つよ」

智「ごめんなさいっ…」

淳「大丈夫やから、ほらちょっと飲もう」





水を飲ませてあげると、潤ませた瞳から涙が流れる





淳「もぅ、大丈夫やから。汗かいちゃったし、着替えよか？」





見ないふりして涙を拭うけど





大きくなって、自分でやりたいっていう小さなプライドが芽生えたんやろな




熱出たら、気持ちもボロボロになってよく泣いてしまうし




もっと甘えてええねんけどな。

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