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望side
しげは口はとにかく達者らしく、俺がご飯作る間もずーっと喋ってる
俺にもタメ口でいいって、フランクな人や。
たまにおる途中で障がいを負っても
本来の自分を見失わずにいられる人かもしれん
大「神ちゃんとは元々、大学の友達やってな？
サークルでスキー行くことになって、神ちゃんなんか予定あって行かれへんくなって
俺とみんなでスキー行くバスが事故ってさぁ…俺こんなんなってん」
笑いながら笑えへんくらいの、微妙な会話やめてほしいわ…
大「引かんといてや、神ちゃんそれでほら…あんな怖くなってん
神ちゃんなりに責任感じてるんやろな…あ、小瀧にこんな話…」
望「大丈夫。
俺も、なんか神山さんからは…そういう強い意志みたいなものを感じるなあと思ってて」
俺がそう言うと、気まずそうだったしげはまたニコッと笑って続ける
大「ほんっま、神ちゃんて昔っからそういうとこは変わらんのよね。
曲がってることが嫌いっていうか、自分の道を貫くっていうか」
ベッドから動けないしげの目に入る位置には、数人で写ってる写真があって
そこにふと目をやるしげ
神山さん、ほんまにしげのこと好きなんやな。
望「できたよ、特製シチュー」
大「ええーっ、シチューやば！うまそ！」
出来上がったシチューは、しげのために全てを小さく切って
専用のスプーンを渡して出したお茶もとろみをつけて少し固くした。
大「いただきます！うまいなぁ」
力のない手でスプーンを握ってゆっくりゆっくり笑いながら食べていくのを見てたら
こんなに一生懸命食べるくらい喜んでもらえるん、嬉しいなってつい笑ってしまう
大「っゴホゴホっ………」
望「ゆっくり食べよ？」
とはいえ、嚥下機能は落ちてるから時々咽せながらやけど
1時間かけてようやくほとんどを食べ終えた
大「はぁ……美味しかった。でも疲れたな」
望「お疲れ様、喜んでもらえてよかった」
大「めっちゃ美味しかったわ、昔やったら30分かからんと食べてたくらいやわ！
ありがとうな…あと」
望「ん、なに？」
大「こぼしちゃった…ごめん」
望「拭いとくから、大丈夫やで」
それが俺の仕事なのに、それだけのことでしゅんとするしげ
介助者が介助するのは当たり前のことなのに
途中で障害を負うのは心にも身体にもダメージが大きい
そういうのを乗り越えて、今生きてる
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作者名：時生
| 作成日時：2023年4月18日 0時
