虹がかかる空に＊6＊ (ページ16)

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1届きますように(兄組) ページ16

照史side

静かな楽屋で、望が俺に話しかける

望「照史、今日濵ちゃんのとこ行く？」

照「うん、今日は俺行くで」

望「濵ちゃん……変わらず？」

照「うん、変わらずよ」

嬉しいような寂しいような、そんな顔をして笑う望

もう望は半年くらい、大好きやった濵ちゃんに会えてない。

半年前、仕事中に突然濵ちゃんがおかしくなった

あの日のことを、今も覚えてる。

濵「っごめんなさいっ…ごめんなさいっごめんなさいごめんなさいっ………」

「濵田さん？」

雑誌の撮影中、カメラの前に立っていた濵ちゃんが急に座り込んだ

自分の撮影順番を待っていた俺らも、焦ったようなスタッフさんの声で濵ちゃんの方に向かった

明るい撮影ライトの下で、耳に手を当てながら小さくなって目をぎゅっとつぶって

ごめんなさいを繰り返し言いながら震えている濵ちゃん

ただごとじゃないと察した俺らも、どう声をかけていいか、どうしたらいいかわからなくて

濵ちゃんの前で一瞬たじろぐほどやった

照「濵ちゃん、濵ちゃんどした」

謝りながらボロボロと泣いてることに気づいて

またみんなの動きが止まった。

普段滅多に泣くこともない濵ちゃんが泣いてる、それだけで驚いたんやと思う

濵「っ触らんといてっ！！」

背中をさすろうとして伸ばした手を

濵ちゃんが大きい声で俺を拒絶した

こんなふうに拒絶されんのも、初めてやった。

望「濵ちゃん…どしたんやろ」

不安、というよりは呆然としたの方が合っていた

呆然としている弟組を置いてそのままスタジオの隅に走って行った濵ちゃんを淳太くんと追いかけると

少し高い階段に、今にも飛び降りそうな体制で足をかけてた

淳「濵ちゃん！危ないよ！」

濵「っもう嫌やっ…もう……もういややっ！！」

　
ボロボロと泣きながら焦点の合わない目で、でも確かにそのまま飛び降りようとしてて

慌てて濵ちゃんのことを後ろから抱きしめに行く

照「濵ちゃん、危ないってっ！降りてっ！」

濵「いややっ、いややっ！！」

照「濵ちゃん、濵ちゃん！！」

なんとか力づくで止められたものの、俺の手の中で暴れ回る濵ちゃんの顔は涙でぐしゃぐしゃ

しばらく暴れて、力尽きたのか急に俺に身を任せて眠り込んだ

それはもう

いつも優しく笑ってる俺らの知ってる濵ちゃんやなかった。