2 ページ44
淳太side
淳「照史…ごめん、言い過ぎた」
照「ずっとずっと…望に元気になって欲しくて、したくてしてたはずなのにな…」
望が中学生になった頃、照史の両親と望の乗った車が事故にあった
トラックの運転ミスで正面衝突して乗っていた乗用車は大破、照史のおとんとおかんは即死やったらしい
一命を取り留めた望は、しばらく入院したけど中学2年の頃には普通に学校に行けるようになった
でもそのあたりから、歯車が狂い始めた。
可愛かった望が、急に大声で叫び出して暴れたり記憶がなくなったみたいに親を探したり、家を飛び出してあてもなく彷徨ったり
家の中でも外でも夜中でも関係なくそれは四六時中続いて
病院連れて行っても原因不明で、1年くらいずっとその状態で
照史はずっと望のこと見ていないといけなくて結局高校は中退
そしてある日突然、照史のことすら分からなくなって、その日に意識不明になってもう3年
脳の病気だってやっとわかった時には、今の状態になっていた。
事故の日、守れなかった家族の代わりに望だけは大切にしようと決めた照史にとって
地獄のような毎日やったけど、逃げ出すなんて選択肢はなかったんやと思う。
照「俺、望のこと大好きやからさ…でももうこのまま目が覚めなかったらいいのにって思うことあんねん。
ひどいやろ、ひどい兄貴やんなぁ…」
起きて欲しい、目を覚まして欲しい気持ちと
またあの地獄のような日々が始まるかもしれないという怖さ
俺はそばで見てたから、照史の気持ちが痛いほどわかる
淳「ひどくなんかない、あんなん誰だって無理や。それを3年してる照史はすごいやん」
この3年、寝るまま惜しんで望のそばに居続けた照史はもう心も体もボロボロで
どれだけ辛い現実でも照史のことを受け止めたい
弱音を吐かない照史やから、いつか完全に潰れてしまうんやないかって心配になんねん。
609人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:時生 | 作成日時:2022年8月21日 1時