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崇裕side
智洋に体育祭の話したら、またそっけなく怒られた
確かに俺ぼやぼやにしか見えてへんから、行ってもよくわからんのはそうなんやけど
小学生の頃の運動会で一位でゴールしたの、見えてないのに見えてるフリして
見えてたよ!って言うたのが嫌やったんかな(笑)
結婚前は伴走の人とマラソンなんかも出たりしたし、智洋の運動神経の良さは俺譲りなんやろなって嬉しいのになぁ…
とはいえ、小さい頃から運動神経抜群の智洋が大活躍するであろう体育祭に行かへんなんて考えられなくて
多分人混みで難しいやろうけどなるべく、
なるべく向こうから分からんように見にいこうって決めて、体育祭に来た
やっぱりとんでもない人混みで、1人やと人にぶつからんように歩くので精一杯
ドンッ!!
崇「すいません!」
思いっきり人にぶつかってしまって、座り込んでグラウンドの上に飛んでいった白杖を探すけど見当たらん
「ちょ、崇裕大丈夫?」
聞き覚えのある声で声のする方を見ると、ぼやっとやけど誰か立ってるのがわかる
崇「照史!?」
照「人混みすごいよな、大丈夫?
聞いたで、智洋と喧嘩したんやろ?」
照史は智洋の同級生のお父さんで、初めてできたパパ友ってやつ
智洋が幼稚園の頃からの付き合いやから、色々教えてもらって優しい友達って感じで
そんなんを言いながら、俺を引っ張って立たせてくれる
崇「あー、いやまぁ…見えへんのに来んなって言われて…やから俺が今日ここに来てることは内緒な?」
照「そうなん!?
来るなら昨日でも俺にも声かけてくれたらよかったのに…あ…!」
崇「なに、どしたん?」
照「白杖…折れてるなぁ…これ」
崇「えぇ!ほんまに!?」
転がってしまった白杖を俺の手の上に乗せてくれた照史、触れてみてわかるけど半分にポッキリ
1人でこの人混みは無理やな。
崇「照史ありがとうな?残念やけど帰るわ」
照「帰るん!?これからやで?慣れてへんけど俺介助するから見ていきや!」
帰ろうとする俺のことを引き留めてくれた照史、感謝やな(笑)
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作者名:時生 | 作成日時:2022年8月21日 1時