虹がかかる空に＊4＊ (ページ25)

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1無防備な優しさ(しげりゅせ) ページ25

流星side

流「もしもし、はい…わかりましたすぐ行きます」

学校が終わって、ふとスマホを見ると近くの病院から電話があって慌ててかけなおしてみたら

3個上の兄の大毅が事故に遭ったから早く病院に来て欲しいって言われた

めっちゃ急いでとりあえず言われた保険証だけ持って病院行って、通された部屋の前めっちゃ大きい声で話してるのが聞こえてくる

「だから！！お名前は？わかる？お名前！！」

そんなんしても、大毅小さい頃からずっと、右も左も耳は全く聞こえてへん。

補聴器したところで雑音拾うだけで、大して聞こえへんからって最近は補聴器もしないで出歩いてることの方が多いし

家族との会話も基本は手話でしてる。

部屋に入ったら、案の定ベッドに座る大毅に看護師さんが大毅の耳元で大きい声で話してる

まだ言うてへんのか…筆談でもして、大毅も聴こえへんって早う言えばええのに

車の事故に遭うのは実は意外とある、その後はいつもだいたい落ち込んでるからな…

背を向ける大毅の背中をトントン叩くと、おおやった来たかみたいな顔して笑って右手上げる

「弟さんですか？お兄さんに電話番号だけ渡されて、とりあえずお電話しましたが」

流「すみません！兄は耳が聞こえなくて、色々とご迷惑おかけしました」

「怪我は足の捻挫とかすり傷だけで大事には至ってませんでした、あと一応頭の検査して異常なければ帰っていただいて大丈夫ですよ」

優しそうな看護師さんに一安心して、大毅に向き直る

大学デビューや、言うてイキってオシャレして出かけた1週間でこれやもんな。

流『車気つけろって、言うん何回目やねん！』

大『しゃーないやろ、思ってもない方から車来たんやもん』

流『そんなわけないやろ、気をつけて歩けば事故には遭わん！
あと、ちゃんと耳のこと病院の人に伝えへんからみんな困ってたやん』

大『お前なぁ、もっと俺の心配せいよ！
で、俺の保険証持ってきたんか？』

流『あ……忘れてた』

大『ほんっま、流星あほやな！！』

流「うるさいなぁ！！大毅に言われたない！！」

「あの…大丈夫ですか？」

流「すいません…大丈夫です」

さっきまでの手話での会話、喧嘩ヒートアップしすぎて大声出してもうた…

俺別にうるさくないもん、って手話見せつけてくるのやめろ

急に大声出したからめっちゃみんなに見られてるやん、恥ずかしい(笑)