僕が僕でいる理由 (ページ5)

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大毅side

大「家、こっちちゃうけど？」

倒れたばかりで、まだ使い物にならないぼーっとした頭で車窓を見るといつもとは反対方向に向かっていて

慌ててマネージャーにそう言っても

「病院、行きますよ」

とだけしか答えてくれなくて

あぁ、もうついにこの日が来てしまうのかと

不安だけが募る。

強制的に連れてこられた病院で

診察の前に採血させてくださいとのことで、嫌いな注射に耐えて

やっとのことでたどり着いた診察室

先生に言われたのは、ここ最近の体調不良についての答えで

それをただ呆然と聞いてしまっていた

診察室から出て、どうだったか聞くマネージャーの顔見ても「嘘やろ」以外の感情が湧かなくて

「重岡さん、重岡さん？！」

大「っあぁ…」

「なんですか、それ」

診察室でもらった病気についてのパンフレットを慌てて隠そうとして見つかってしまった

大「……」

「なんですか、それ…」

俺の今の気持ちには似つかわしくない、明るいポップな色で書かれているのは「白血病について」の文字。

なんでこんな明るく書いてあんねんって苛立ちすら覚える

大「そういうこと…みたいやわ」

家まで送ってもらう車の中で、先生から言われた言葉がフラッシュバックする

「すぐ入院治療しないと治りません。ステージが進んでいて、外来では寛解には至りません。寛解には最低でも半年必要と考えてください」

これからツアーも始まる、アルバムも出したばっかり

シングルの話だって来てるし

入院してる時間、どこにあんねん。

それは絶望にも似た感情で

大「みんなには、黙っといて」

「え……でも、」

大「タイミング考えて、俺から話すから」

そう、マネージャーに何度も釘を刺して帰った。

再診は1週間後、それまでに俺なりの答えを出さないといけない

それは、デビュー8年目の試練やった。