16 ページ16
首に大きなガーゼ付きの絆創膏を貼って教室へと向かう。
言葉にするなら散々だった。
あの後、首から止めどなく溢れる血を手で押え
謎に固まったマッシュを部屋に残し保健室へと走った。
保健の先生は、首から血を流す俺を見て驚きつつも颯爽と手当をしてくれた。さすが、魔法学校の専門教師だ。
けれど噛まれた傷口は案外深かったらしく、なかなか塞がなかった。
そんなこんなで一日を保健室で過ごさせてもらい、血は止まったものの、傷跡はくっきり残っている。
既に疲れた。
あとは、寮のドア修理を依頼して...キャベルと別室にしてくれるように頼み込んで...、やる事が色々とあるな。
『...はぁ』
入学早々波乱な出来事に何度もため息が出る。
そういえば、1時限目はホウキ使った授業なんだっけ。
魔法が使えないマッシュをカバーしなきゃ____
「兄ちゃんッ」
後ろから聞こえた切羽詰まったような声に、足が止まる。
長ったらしい廊下に響く足音が、妙に騒がしく感じた。
振り返れば不安そうに瞳を揺らすマッシュ...
「ごめん兄ちゃッ、」
震えた声で必死に謝罪の言葉を探す弟の姿に庇護欲すら感じた。
けど、同時に首の傷がズキリと痛む。
...俺も、少しばかり甘やかしすぎたのだろうか。
_____《「お前たちそろそろ兄弟の距離感見直した方が...」》
じいちゃんの日ごろの口癖だった言葉が今になって蘇る。
「ッごめんなさい、」
何度も俺の首を見てはクシャッと泣きそうな顔をして謝る弟。
しかし俺は、フィっと顔を背けた。
それはもう冷たいぐらいスルーした。
許せマッシュ。
理由がなんであれ
マッシュのことだから、きっと故意に首を噛んだ訳じゃなくて無意識に近いものだったんだと思う。
けど、自制できなかったってことは
いつか、周りの人も本能のまま傷つける可能性がある。
血管を噛みちぎられてたら兄ちゃん死んでたよ。行為の理由を知りたいが後だ。
ここで俺がいつものように甘く「仕方ないな」と許してしまえば、マッシュは自身の過ちを軽くとらえて繰り返すかもしれない。
マッシュに家族以外の大切なものができた時、俺にしたことをその子たちにしないよう俺がちゃんと反省させねば。
578人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
点P(プロフ) - みんちょさん» コメントがもうモチベあげる天才なのよ...、嬉しすぎてにやけ通り越して号泣もんです。嬉しい言葉ありがとうございますッ糧になります美味しい美味しい😭😭😭♥️ (5月4日 0時) (レス) @page24 id: 2cf94a5c8d (このIDを非表示/違反報告)
みんちょ - すげぇ投稿されてる!!!うれすぃー!もう絡みが最高求めてた作品です…!!頑張ってください💪 (5月3日 15時) (レス) @page23 id: 9a6e8a15b0 (このIDを非表示/違反報告)
点P(プロフ) - ありさんさん» いやぁ、更新遅くなって土下座ヘッドバン状態です😇でも、見てくださる読者様に感動してこちらも土下座案件です。そして、コメントくださるありさんにいつも土下座状態です。愛です。 (5月3日 9時) (レス) id: 2cf94a5c8d (このIDを非表示/違反報告)
点P(プロフ) - 人間さん» うええええこちらこそ読んでいただきありがとうございますです🥲♥️そして、感想いつもありがとうございます🥹♥️これからも頑張りますぞ! (5月3日 9時) (レス) id: 2cf94a5c8d (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - お久しぶりの更新ですね!!とっても面白かったです!!!これからもよろしくお願いします!!! (5月3日 4時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:点P | 作成日時:2024年3月21日 15時