好きの勇気 (ページ31)

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Aさんside

眩しい……。
部屋に入ってくる日光で目を覚ます。

私…生きてる。あの時ナイフが刺さって……。
まだ少し痛むお腹を抑えつつ起き上がる。

足元に違和感を感じ見てみるとベッドを枕にして眠るコビーくん

『風邪ひいちゃうよ…』

近くにあった毛布をかけて頭を撫でてあげる。私の手を握っている彼の手に力が入る。
特に大きな怪我をしていなさそうで良かった。それだけで私は嬉しい。

安心しているような寝顔を見つめていると彼が目を擦り始める

『起こしちゃったかしら？』

コ｢ん……Aさん…｣

まだ眠たそうな彼だったが私を見るなり目を見開く

コ｢Aさん…!!大丈夫ですか!?起き上がっちゃダメじゃないですか!!｣

いつものコビーくんだ。そう思うと笑ってしまう

コ｢何笑ってるんですか…!!笑い事じゃないですよ!!｣

『いつものコビーくんだから…安心しちゃってね』

コ｢はああ………Aさん……本当に心配したんですよ。｣

俯いてしまうコビーくん。

『ごめんね。もう大丈夫よ？それよりもあなたが怪我をしてなくてよかった。』

頭を撫でていると彼がこちらを向く。目が合ったまま少しの無言。
口を開こうとした瞬間彼が優しく私を抱きしめる。

『あ…っ……コビーくん…？どうしたの？』

コ｢貴女に守られてばっかりだ……。僕が貴女を守りたいのに。僕は何も出来てない。｣

『コビーくん…そんな事ないわよ。あなたが来てくれなかったら私、あの時死んでいたかもしれないもの。だからあなたが私を救ってくれたのよ。』

コビーくんの腕に少し力が入る

コ｢それでも…僕は貴女に怪我をさせてしまった。僕のせいで。｣

『いいの、あれは私が悪いのよ。あなたを守れたことに安心してしまったの。能力の力を抜いたらナイフが私の方に飛んできてしまっただけ』

コ｢それでも……。｣

『大丈夫だから。気にしないで。』

優しく彼の背中をさする

コ｢Aさん…僕……。｣

『なあに？』

コ｢僕は……貴女が好きだ。｣

彼の言葉に耳を疑う。
好き？コビーくんが、私を？何故。聞き間違え？
それだとしたらなんと都合のいい聞き間違えなのだろう。

『今…なんて………』

コビーくんは少し離れて私の手を握る。
そして私の目をしっかりと見つめる。

コ｢僕は、Aさんが好きです。ずっと、ずっと前から。｣

前にも見たことがある。あの時の目、テラスで会った時のあの…。

高鳴る鼓動がうるさいくらいに頭で響く───。