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家に着き、玄関を開ける、
と同時にいい香りが私のみをまとう
母「おかえりぃ〜、ご飯できたよ！」
笑顔で迎え入れてくれるお母さん
机の上にはご飯が並べられている
ご飯のパンダがカレーのお風呂につかっている
なんとも可愛いそのカレーライスを
私はアイフォンで写真を撮る
母「可愛いでしょぉ〜？頑張ったんだぁ」
なんて嬉しそうににこにこして
キッチンから出てくるお母さん。
いつもならイライラするんだけど
八木さん効果なのかイラつかない
こくりと頷き
貴女「うん、可愛い。」
と言ってお母さんとふたり椅子に座り
いただきますをする
こんなふうにご飯食べるの、
ほんとに何年ぶりだろう
お母さんの作る夜ご飯ってこんなに美味しかったっけ？
あっという間に食べ終わって
お母さんはデザートにミニパフェまで作ってくれて
いつも、こんなふうにお客さんにも料理出すのかな
とか思っみたり
お母さんが洗い物をし始める
私はまた素っ気なく部屋に戻る
暗い部屋に小さな明かりをポツンとつけて
イヤホンをつける
“MURASAKI”
この曲が一番好き。
ベッドに座り窓を開ける
マンションの上階というだけあって
東京の街を見下ろせて
キラキラした町並みを
ゆっくりと見渡す。
机上に置いてあった紙切れを取り
見つめる
「明日、会いに行く。しおりとりのの事は二の次」
そう呟いて体操座りをする
耳に流れる義勝さんのMURASAKI
すごくエモい。
自然と嫌なことが涙へ代わり
私の頬を伝う
あぁ、もう何も取られたくないのに
自分にはどうすることも出来なくて
またハサミを取り出す
いつの間にか薄くなっていた傷跡の上に
新しい傷跡を残す
流れ出てくる血を垂れないうちに拭き取って
八木さんと会った興奮や喜びをかき消してしまった。
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作者名：まなか | 作成日時：2017年9月17日 23時
