ＨＥＢＥ - exo - (ページ49)

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目の前に広がる夕日に照らされる海は
キラキラと綺麗で素敵だった

日が沈むのを二人浜辺に座り、
ただ黙って眺めていた

この世界にはふたりしかいないんじゃないかって

・

だんだんとオレンジから
深い紺色になっていく海

色が深まるたびに
私の不安の色も濃くなっていく

KA「ありがとう」

海を見つめたまま
話し出す彼

『えっ？』

KA「来られてよかった」

『うん』

KA「何かお礼しないとだね？」

『じゃあ…踊ってよ。上手なんでしょう？』

KA「はははっ。ん、いーよ」

スクッと立ち、
裸足になった彼は
砂浜の上で月明かりに照らされ踊り始める

『っ、』

息をのむとはこれだ

その儚さに
終わりと希望が見れる

なんの終わり？
どんな希望？

踊らない彼は
私がそばに居てあげないとと思わせた

踊る彼は
私が飛ばしてあげたいと思わせた

・

踊る彼の笑みは
乾いてなんていない
満ちている

そんな彼は
吸い込まれるように海に

『えっ、待って』

泳げない私には
追いつけない

追いつけないのに
私の足はもう水につかっている

KA「おいでよ」

『私、泳げないの』

KA「大丈夫」

そう私の手を引く彼には
しっかり翼が見える気がした

もう彼に
私はいらないんだ

・

プカーッっと水面に
手をつないで浮かぶ私たち

今、同じ水に浮かぶ彼は
もうじき私の届かないところに
飛んでいくだろう

・

水の音に混じって聞こえてくる彼の声

KA「ヌナがさ、海はいいよって」

ヌナと海は
やっぱり繋がるのか

KA「潜れば涙はバレないからって。ヌナ、人の前では泣きたくない強がりなんだ。ははは」

確かにバレない
私の涙もバレないでしょ？

KA「ヌナは、正解だな」

あなたも泣いてるの？
恋の終わりに泣いているのかな

そっか
海には泣きに来たんだね

KA「はははっ。別にプールだって、シャワーだっていいのにな」

でも、
海が一番大きいから
一番たくさん泣けるんじゃない？

ははは

KA「俺、海が好きになったよ。ひとりで来なくてよかった。寂しくなかった」

『それは、よかった』

そう、よかった