ＨＥＢＥ - exo - (ページ18)

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『お疲れ様でした』

罪滅ぼしという名の生活費を
受け取ることに嫌気がさして始めた
近所のスーパーでのパート

パート①「あら、Aちゃんお疲れ様～」

“ちゃん”呼びをしてもらえるくらい
周りの同僚はおばちゃんばかり

乾いた私を潤してくれる青年
なんて滅多に会えない

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パート①「そういえば聞いた？パートのアラさんのこと」

パート②「えっ？なになに！」

また始まったおばちゃん特有の噂話に
耳だけこっそり傾け
制服から来た時の服に着替える

パート①「アラさん、ここのパート辞めたらしいわよっ！」

私がそのアラさんの代わりに
雇ってもらったものね

そうこっそり心の中で返答する

パート②「えっ？どうして」

パート①「それがっ、好きな男に貢ぎたいからもっと稼げる仕事するみたい」

そうなんだ
それはなんかすごい

アラさんすごい溺れてる

パート②「え、もっと稼げるって...」

パート①「そうよねえ、そんなに派手なタイプでもないのにねえ」

パート②「その男の人そんなに素敵なのかしら？」

パート①「私、実はチラッと写真を見せてもらったことがあるんだけど、確かにイケメンだったわあ！」

イケメンかあ、
私の前にも現れてくれないかな

パート②「いやあ、いいわあ」

良いですよね
羨ましい

パート①「なに言ってんのよ～、ふふふ」

パート②「でも、アラさんって....そんな男の人とどこで出会ったのかしらね..」

たしかに！

パート①「それが！さっきヨンエさんから聞いたんだけど、アラさんが好きな男の人、最近この辺りで有名なカイなんですって！」

パート②「あっ！あの？」

どのカイ？

一番興味が惹かれたけれど、
そんな言葉は飲み込む

私には関係ない

『お先に失礼します』

もっと聞きたい気もしたけど
興奮気味のおばちゃん2人を背に帰る

「「お疲れ様～」」

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スーパーの裏口から出ると
予想通りに
重たい雲から
大きな雨粒が降っていた

バッと持ってきていた水色の傘をさして
真っ暗な家に帰る