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時間にして1秒にも満たなかった視線の交わりが私には十数秒にも感じられた。
「てめェ……」
明らかな自分への呼びかけに、フリーズ状態から引き戻されてぴくりと肩が小さく跳ねた。まさか今目が合った一瞬でいつも視ている人物が私だと勘付いたのだろうか。だとしたらどんな感覚をしているんだ？ そもそも今私が思ったより焦っている時点で答え合わせは完了してしまっているのではないか。もしかして怪しい人物に目星を付けてカマでも掛けたのか？
そんな私の思考など知らないというように、爆豪勝己はフン、と鼻を鳴らして横を通り過ぎて行った。あまりにも態度が悪すぎて一周回って笑いそうになってしまう。だから、そう……柄では無いのだが仕返しとしてちょっとした悪戯をしよう。仕返しとは言ったが、つまるところ反応が気になるだけである。そして私は瞳を閉じた。彼はすぐに気付いた。それからノータイムで引き返してくる足音が聞こえてきた。
好奇心は猫を殺すとはよく言ったものだ、元々人だかりから少し離れたところで、今は人も散り始めていて死角のようになっている廊下の隅で、猛獣のようなオーラを放つ下級生に睨まれていた。
「やっぱてめェが最近の気色悪ぃ視線の正体か」
「いやあ、ごめんね？ 普通は気付かれないからただの経営科生徒として情報収集の為に使っているだけなんだけれど……」
「うっせぇ、次やったらブッ殺すぞ」
口が悪すぎる。 仮に同級生だとしてもこんな口はきかないだろう。さておき、この先彼を視られないのは非常に困る。何とか交渉をしたいところだが、こういう粗いタイプは中々いないからどうしたものかと頭を抱える。
「私は経営科の授業の一環として、体育祭での生徒の活躍を予測しなければいけないから視られないのは困るなあ」
「知るか！ クソモブ共の授業なんざどーでもいいわ！」
「うん、正直私も君の気持ちとかどうでもいいんだ」
そう言うととても大きな舌打ちが聞こえてまた睨まれた。２つ年下とは思えないくらいの態度と凄みはやはり振り切っていて面白さすら感じる。
「誓って、私は君のヒーロー科実技授業以外の姿を視ていないよ。興味があるのは、知る必要があるのはあくまでも能力の成長なんだよ」
「俺に何のメリットがあンだよ」
「え」
思ったよりも譲歩してくれそうで素で驚いてしまう。爆豪君はそれを見て答えを急かす様に更に目を鋭く細めた。
「私が視ている限り、君は成長しているという保証が取れる」
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廿楽(プロフ) - むさん» コメントありがとうございます。お褒めいただけて嬉しいです！応援も大変励みになっております。頑張ります！ (2021年10月18日 1時) (
レス) @page21 id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - コメント失礼します、とても面白くて続きが待ち遠しいです！文章がとても好きです。これからも頑張ってください、応援しています！ (2021年10月17日 20時) (レス) @page4 id: e0a285cdcb (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - いくまさん» コメントありがとうございます。大変励みになります！文章の表現諸々を好みと言っていただけて嬉しい限りです。遅筆ではございますができる限り更新したいと思いますので、これからもどうかよろしくお願い致します。 (2021年9月21日 18時) (レス) id: d79b86d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - コメント失礼します。作者様の作品、全て読ませて頂いております。文章の書き方、構成、表現が全て私の好みに当てはまっており毎回の更新とても楽しみにしています。これからも更新諸々頑張って下さい。応援しています。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2021年8月26日 4時
