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「おお、大・爆・殺・神ダイナマイト！ 生身だとやはり迫力が違うなあ。妻が君の大ファンでね、後でサインをいただいても？」
眼前の恰幅の良い男に、大・爆・殺・神ダイナマイトこと爆豪勝己は呆気に取られていた。彼がもう少し若ければ声に出して威嚇していたところだが、ここで私情により大口案件を反故にする程子どもではない。無愛想のまま頷き、隣で笑みを貼り付けている女――察視Aに視線を移した。今日は彼女の為に生み出されたようなパンツスーツに身を包み、いかにも仕事ができる人物といった風貌だ。
「ダイナマイト、本日もお忙しい中貴重なお時間を割いていただきありがとうございます」
早速ですが、と察視が手元の液晶タブレットに資料を提示していた。心なしかその声はいつもより低く、深いところにすっと入ってくる話し方であるように思えた。恐らく上司がいる手前、あのどこか奔放さを感じさせる雰囲気は引っ込めているのだろう。爆豪とのマンツーマンの時に度々覗かせていた仕事人の顔を全面に出しているこの状況は、一見戯画的に思えても滑稽ではなかった。それは、彼女が作成したと思われる資料も説明も、何もかもが完璧であったからである。滅多に他人を賞することのない爆豪が、思わず感嘆に唾を呑んだ。
「2人は出身高校が同じなんだっけ？ 私は少し席を外すから、その間歓談してくれたまえ」
「部長へのご連絡なら私の方で済ませますが」
「いやいや今後の為にも察視君が彼と親睦を深めた方が良い。何せ中継は君がほぼ担当することになっている」
「……かしこまりました」
察視が不気味なまでの笑顔で上司を見送り、爆豪の目の前へ座り直すとそのまま、落ち着いたコーラルが彩る唇を開いた。
「失礼致しました。責任者を離席させるべきではないのですが」
「まだそれやんのか」
「仕事中、ですから」
では先日のレストランの砕けた様子は何だったんだ、と爆豪は鼻を鳴らした。察視にしてみれば、上司は退席中なだけであり、取引相手である爆豪を目の前にしているのだから、気が抜けないのも仕方がない。
爆豪がそれを見抜けない筈が無い。彼は彼女の公私を隔てる堅牢な牙城を崩したくて仕方がなかった。思えば、彼女の表情が品の良さを失ったところは見たことが無い。時折懐かしむような
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廿楽(プロフ) - むさん» コメントありがとうございます。お褒めいただけて嬉しいです！応援も大変励みになっております。頑張ります！ (2021年10月18日 1時) (
レス) @page21 id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - コメント失礼します、とても面白くて続きが待ち遠しいです！文章がとても好きです。これからも頑張ってください、応援しています！ (2021年10月17日 20時) (レス) @page4 id: e0a285cdcb (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - いくまさん» コメントありがとうございます。大変励みになります！文章の表現諸々を好みと言っていただけて嬉しい限りです。遅筆ではございますができる限り更新したいと思いますので、これからもどうかよろしくお願い致します。 (2021年9月21日 18時) (レス) id: d79b86d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - コメント失礼します。作者様の作品、全て読ませて頂いております。文章の書き方、構成、表現が全て私の好みに当てはまっており毎回の更新とても楽しみにしています。これからも更新諸々頑張って下さい。応援しています。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2021年8月26日 4時
