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一見一方的な試合運びで遂にブーイングが上がる。声を上げたのはプロヒーローらしき数名らしい。席の位置関係でよく見えていないのならば、そう訴える気持ちも理解できなくはないが。相澤先生の喝を耳にしながら私は上空を眺めた。麗日さんだってヒーロー科の1人だ。突進一辺倒で爆豪君を相手取るつもりなんて最初からあるはずがなく、手を合わせるようにして流星群さながらの攻撃を仕掛ける。対戦相手の性質をよく理解した上に、自身の個性の有用性を把握した非常に良い攻め手だと素直に拍手を贈りたい気分だった。
――しかし、爆音と共に麗日さんの渾身と思われる攻撃が、散り散りになって競技場へ降り注ぐ。最大規模の火力で爆豪君が迎撃したのである。隙を作るわけにはいかなかったから、一撃で済ませる必要があったのは想像に難くない。お互い再度構えはしたものの、麗日さんの戦闘不能によりこの試合は爆豪君の勝利となった。
あれだけの瓦礫を浮かせていたのだ。加えて1年生、まだ個性の使い方だって理解し始めたばかりだろう。そんな中であそこまで試合展開を持っていけたのだから、十分に伸び代はある。これはきっとプロヒーローの中にも気になった方はいたのでは、とああいう姿勢が好きそうなプロヒーローを脳内でリストアップしていた。
そういえば、と爆豪君の迎撃での大爆破を思い出す。あの規模の爆破が初見だったわけではないけれど、いつもは戦闘服を着ているはずだ。今日は勿論公平性を期す為にそのようなサポート性能のある服ではないので、あの威力を素で放ったことになる。となると心配なのはその手にどの程度負担が掛かって、次の試合に影響するか否かという点だ。正直、視れば判断できる程度だが……試合後で気が立っていて感覚が鋭くなっていたら邪魔をしかねないからその選択肢は無かった。
若干の不安を感じながら2回戦目を観戦する。轟君と緑谷君の試合は見ていてこちらが痛くなってくるくらい辛そうなものだったが、体育祭で初めて見せた炎により轟君が勝利した。
続く切島君と爆豪君の試合、殴り合いの最中で爆豪君の個性がやっと効いたように見えた。その時だった。ポケットから響くバイブレーションに気付く。正直試合観戦を優先したかったのだが、液晶に表示された文字は私が何よりも優先して対応しなければならないもので、泣く泣く席を立った。足早に静かな場所へ移動し、受話器の持ち上がったアイコンに指を滑らせた。
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廿楽(プロフ) - むさん» コメントありがとうございます。お褒めいただけて嬉しいです！応援も大変励みになっております。頑張ります！ (2021年10月18日 1時) (
レス) @page21 id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - コメント失礼します、とても面白くて続きが待ち遠しいです！文章がとても好きです。これからも頑張ってください、応援しています！ (2021年10月17日 20時) (レス) @page4 id: e0a285cdcb (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - いくまさん» コメントありがとうございます。大変励みになります！文章の表現諸々を好みと言っていただけて嬉しい限りです。遅筆ではございますができる限り更新したいと思いますので、これからもどうかよろしくお願い致します。 (2021年9月21日 18時) (レス) id: d79b86d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - コメント失礼します。作者様の作品、全て読ませて頂いております。文章の書き方、構成、表現が全て私の好みに当てはまっており毎回の更新とても楽しみにしています。これからも更新諸々頑張って下さい。応援しています。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2021年8月26日 4時
