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「お疲れ様、トーナメント進出おめでとう」
「当然だろが」
当然、というわりには表情からいつもの傲然さが見受けられない。騎馬戦の結果を気にしてなのか、驕っている場合ではないと理解しているのか。いずれにせよ油断をしていない、程良く緊張している良い状態であることは明白で、自分がスポンサーであったならば大いに頼もしく感じているのだろう。
「こんな所にいていいの？ 将来の為に売り込みに行ったりしなくていいの」
「余計なお世話だカス」
彼曰く、私達のようなモブとは違ってプロヒーローの方から声が掛かるらしい。ヒーロー科の授業と関係があるのだろうが、物凄い自信にこちらまで気が大きくなりそうだ。これが戦闘中で、私が
「てめェらはすぐそういう目ェしやがって、ムカツクなァ」
「品定め、損得勘定は経営科の基本だよ。ヒーロー科だって個性を私達より上手く扱うでしょう」
「厭らしい論点のずらし方してんじゃねえよ」
ばれたか、とおどけても不愉快そうな舌打ちが返ってくるばかりで、どうしたら高校1年生でここまで迫力が出るものだろうと興味は尽きない。楽しいので綻んだ顔のままいると、今度は静かに睨まれた。静かに睨むとか出来たんだね、爆豪君。
「この際だから聞くが、何で俺だ」
「その質問は予想してないな。爆豪君なら『経営科の癖に俺を見ねえとは良い度胸だなァ』って言うタイプだと解釈していたのだけれど」
「気色悪ぃ」
本家の前で自己解釈を披露したらとても軽蔑された。しかし私にとってその問いは本当に予想外で、理由を考えれば、勝利への執着が前向きだからと言えばそうではあるが、いまいち的を射ていないのだ。
「……好みかな！」
「は？」
「正直わからない。直感。何でだろうね？」
でもまあ、直感って商売にも必要なことだから、本当にそうでも特に疑問は無い。ヒーローは人気商売だから、こういう感覚的な魅力も大事だよ、と伝えたらどうでもいいと一蹴された。興味が無いと去られるよりは話を聞いてくれるだけ随分譲歩しているのかもしない。一応彼なりに上級生の自分に気を遣っているのでは？ そう思うとジュースでも奢ってあげたくなるが、きっと受け取ってくれないんだろうな。
「何か飲む？ 奢るよ」
「要らんわ」
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廿楽(プロフ) - むさん» コメントありがとうございます。お褒めいただけて嬉しいです！応援も大変励みになっております。頑張ります！ (2021年10月18日 1時) (
レス) @page21 id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - コメント失礼します、とても面白くて続きが待ち遠しいです！文章がとても好きです。これからも頑張ってください、応援しています！ (2021年10月17日 20時) (レス) @page4 id: e0a285cdcb (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - いくまさん» コメントありがとうございます。大変励みになります！文章の表現諸々を好みと言っていただけて嬉しい限りです。遅筆ではございますができる限り更新したいと思いますので、これからもどうかよろしくお願い致します。 (2021年9月21日 18時) (レス) id: d79b86d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - コメント失礼します。作者様の作品、全て読ませて頂いております。文章の書き方、構成、表現が全て私の好みに当てはまっており毎回の更新とても楽しみにしています。これからも更新諸々頑張って下さい。応援しています。 (2021年9月21日 11時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2021年8月26日 4時
