始まりと出会いと。 ページ8
終業のチャイムもなり終わり、クラスメイトたちは次々と教室から出て行った。
【用事あって一緒に帰れない!ごめん!(土下座のスタンプ)】
スマホのトーク画面には羅菜との会話が映し出されている。
『はぁ、1人で帰るか…。』
初日に誰とも一緒に帰らないのは少々心が傷つくが仕方ない。
自分の教室が2階にあるため、階段を使って下の階に降りた。
下駄箱に向かう途中、中庭に立派に咲いた桜の木があった為、木のもとに行きじっと上を見た。
『時間が経つのって早いなぁ…。あっと言う間だ。』
ずっと見ておきたいくらいに綺麗なのだが、時間が時間なので今度こそ下駄箱に向かおうとした時だった。
ガッ…!
何かにつまづいてしまった。
突然のことだったので、そのままの勢いで転けてしまった。
『いててて…
あ"っ…!』
つまづいた原因の先を見ると、なんやら石碑が一部欠けたのが地面に転がっていた。
『ま、まずい…これ、壊したら駄目なんじゃ…?』
急いで欠けた部分を元の本体にくっつけようとする。…が、当然くっつけられる訳がないので無念にそのまま地面に落ちた。
これバレたら退学だっ…!
私は必死に逃げた。知らない。なんだか偉そうな人が埋まってる石碑を欠けさせたなんて知らない。
…急いで走り去る私を影で見ていた者がいたなんて、この時の私は知らない。
その日はよく眠れなかった。
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作者名:アマミヤ | 作成日時:2023年8月18日 11時