妖－AYAKASHI EP.1 (ページ36)

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怪しい女ページ36

じめじめとした季節で雨も本格的に降り始めた。

爆寨くんに連れられた場所は行ったこともないボロ家。

『ここって…』

「うるせぇ、先輩から聞いてるだろ。妖が出てんだよ。」

『やっぱり。』

二人だけの討伐は初めてだな。

もしかしたら怪異がいるかもしれないと名須川先輩から聞いた。

「…誰よ、貴方たち。」

ばっ、と勢い良く振り返れば先程まで居なかったはずなのにそこには女性の姿がひとつあった。

「…私を殺すなら出てって。」

その女性の顔はどこか見覚えのある顔だった。

「ふざけんな、お前を退治しにきたんだろうが。」

不気味な女性に対して怯むことのない爆寨くん。

「私は＂七悪神＂なのよ？…気が変わらないうちに帰ることをお勧めするわ。」

彼女の口からは＂七悪神＂の名が出た。

…どうやら彼女は戦う気すら起きないようだ。

「うるせぇ、大人しく帰るわけないだろ！…おい、水無川ァ！…殺るぞ。」

『分かってるって！』

爆寨くんは溜めに溜めた爆発を彼女に浴びせ、目眩まして私が刀を抜き、心臓部に狙いを定めて振った。

…が、虚しくその刃先は彼女に当たることはなかった。