政略結婚かと思ったら、恋愛結婚でした【梵天】

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「ま、待ってください！！」

「･･･なに？」

小首を傾げた途端、サラサラと頬にかかった白髪が幻想的だった。

いや、感動してる場合じゃない。

「マイキーさん、さっき、あい、愛してるって」

「言ったけど？」

それがなにか、とでも言うような表情。

待って、これ。さっきのマイキーさんの「愛してる」は社交辞令みたいなもの？今私それを本気で受け取っちゃった勘違い女みたいになってる？

だとしたら恥ずかしすぎる、ていうか絶対そうじゃん！と思い、ぼぼぼ、と顔に熱が集まる。

もうやだ死にたい･･･死ねる、恥ずかしさで･･･。

顔を真っ赤にして落ち込む私をどう解釈したのか、マイキーさんは私の頬に手を滑らせた。

「俺はAのこと愛してるよ」

「･･････えっ」

「いってきます」

そして、今度こそ、マイキーさんは仕事に出ていった。
玄関のドアが、バタンと無機質に閉まる音がやけに遠くに聞こえた。

拝啓、お母さん。
政略結婚かと思ったら。恋愛結婚だったかもしれません。

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