政略結婚かと思ったら、恋愛結婚でした【梵天】

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「じゃあ、行ってきます」

「えぇ、元気でね」

両親や使用人達に別れを告げる。

梵天の運転手が運転する高級車に乗り込み、マイキーさんの元に向かう。

マイキーさんは多忙だということで、迎えになんて来て貰えなかった。

そりゃそうだろう。組織同士のパイプづくりの結婚相手にそこまでしてやる義理なんてない。

私もそういう待遇を承知で縁談を受けたのだ。

はぁ、と小さくため息をついて、車の窓から次々と去っていく景色を見やった。

「着きましたよ」

無感動な声でそう言って、後部座席のドアが開けられる。

ハイヒールなので転ばないように気をつけながらふかふかの座席から降りる。

ばたん、と後ろで車のドアが閉まった。

連れてこられたのはどこかのタワーマンション。

「こちらでございます」

言われるまま着いていく。

自動ドアは二重になっていた。ふわふわの絨毯が敷き詰められていて、お洒落な雰囲気を演出する。

お部屋はこちらです、と鍵を渡されてエレベーターに乗る。

用意されていたお部屋はとても広かった。･･･が、家具は必要最低限しかなくて不自然な広さだった。

「首領は毎日こちらにお帰りになるわけではありませんので、ご自由にお過ごしください。

そして、首領から言伝を預かっております。

勝手なことはするな、と」

そう言って使いの人は帰って行った。

(勝手なこと？どこからが勝手なことに入るの？)

いまいち意図が掴めない言葉に不安が混じる。

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