政略結婚かと思ったら、恋愛結婚でした【梵天】

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車の窓はスモークで、車自体も黒塗りで高級感が半端なかった。さすが。

そんなこんなで気の抜けないまま、買い出しをすませる。

しかし、すぐに今日はシチューにしよう、とルンルン気分で浮き足立つ。
情緒が激しい私を真顔で見守っている護衛さん達は少し可哀想だと思った。

自宅に帰って、夕食の準備をする。
エプロンをつけてキッチンに立つと、新婚夫婦みたいだななんて無意識に考えてしまって、嬉しいような、恥ずかしいような複雑な気持ち気持ちになる。
･･･夫はまだ帰ってきていないけれど。

とん、とんと野菜を刻み、調理していれば穏やかに時間は過ぎていく。

シチューをゆっくりかき混ぜていると、ふと今朝の出来事が頭に蘇った。あっという間に顔が真っ赤に染まり、動揺してしまう。

「(マイキーさん、私の、こと、･･･好き･･･？)」

マイキーさんが触れた私の頬が。
マイキーさんが見据えた私の瞳が。
どんどん熱を持っていって、それはもはや私には止められない。

「･･････でも、･･･好き、と愛してる、･･･は違うかもしれない･･･」

小さく口から吐き出された言葉が、キッチンの床に落ちていった。

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