ちゃんと優しくしてください【d!】 (ページ3)

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定時ギリギリ、必死にキーボードを叩いていると、上から聞き慣れた声が降ってきた。

｢なあ｣

｢はいっ｣

食い気味に返事をして振り返り、硬直する。

｢ゾム｣

｢今日、この後飯食いに行かへん？｣

｢！もちろん｣

まさか、ゾムから誘ってくれると思わなかった。

｢待ってね、今終わらせるから｣

｢早くしてや｣

急かす言葉すら嬉しい。
ゆるんでしまう頬に力を入れて、仕事を終わらせた。

｢どこ行くの？｣

｢んー、何食べたい？俺ラーメンの気分やってんけど｣

｢いいよ、ラーメンにしよう｣

ゾムの飾り気がないところが好きだ。
しかし、デートになると一生懸命私の話を聞いて、お洒落なお店をとってくれる。
そういうところが、すごく好きだ。
ゾムも私と同じ気持ちかわからないけれど。

こってりした背脂ラーメンを注文して、お冷やを一口頂く。
本当はもっと可愛いものを頼みたかったが、可愛い女子は何のラーメンを食べるのか分からなかったので、大人しく自分の好きなものを頼んだ。