彼女は宝物のように大切に閉じ込められている。【d!】 (ページ6)

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鶏の丸焼きやカラフルなサラダ、お魚のムニエル、丸パンなどどれも正式な名称は分からないが、凝ったお料理なのだろう。

急に空腹を感じた。

他の人達は既に食事を始めていたので、私も遠慮せず頂くことにする。

目の前の野菜スープを一口啜るとどこか懐かしい味がした。

｢･･･おいしい｣

そう呟くと、

｢そうやろそうやろ！？｣

と元気な声が返って来た。

｢うちの料理は世界一や！もっと食え！｣

緑色のフードを被った男性は嬉々として料理を勧めてくる。
私はどんどん取り皿に盛り付けられていく料理の数々をぽかんとしながら見つめるばかり。

｢あっ、安心せい！食べきれんかったらエミさんとか大先生が全部食ってくれるで！｣

おそらく名指しされたエミさんと大先生であろう二人が、さっと青ざめた。

他の人の様子を伺うと、各々好きに食事をしているようだ。居心地がいい。
まだこの緑色のフードを被った人物の名前すら知らないが。

まんちゃんからは時折視線を感じた。私が上手く馴染めているか心配なんだと思う。

結局緑色のフードを被った人物の名前は分からずじまいだったが、楽しく夕食を終えた。

窓から差し込んでいた赤色の斜陽はいつのまにか消え、黒々とした夕闇が広がり始めていた。