epilogue ページ16
「次の競技は、障害物競走でーすっ!」
放送委員のハツラツとした声が、歓声の中によく通る。
体育祭は最高潮に盛り上がっていた。
「ショッピはっや!」
いつの間にか隣に来ていたチーノが、そう言って驚いていた。
「あ、私次の競技の準備あるから行かなきゃ」
「がんばってな〜」
砂ぼこりでケホケホ咳き込みながら、その場を離れようとした時、どんっと後ろから衝撃が来て、よろめいた。
多分、後ろにいた子にぶつかられたんだと思うんだけど。
そんなことを呑気に考えているうちに、体勢が立て直せなくてグラウンドの土が目の前に迫ってくる。
「Aっ」
間一髪、グンっと引っ張られて、地面スレスレで私は転倒を回避した。
「大丈夫やっ・・・た・・・?」
カシャンと何かが落ちる音がして、視界が一気にぼやけた。
「・・・・・・ッ!」
みるみるうちに顔を真っ赤にするチーノ。
「ありがとう・・・どうしたの?」
「いや、何でもあらへん!なんでもあらへんで!!暑いだけや!!」
そう、チーノは言えなかった。「ずーっと"仲のいい友達"だったAが、眼鏡を外したら思ったより可愛くて恋に落ちた」とは。
しかしAも同様に、「ずーっと"仲のいい友達"だったチーノが、眼鏡を外したらハチャメチャにタイプで恋に落ちた」とは言えなかった。
お互いにギクシャクしながら歩む道のりは、まだまだ長そうだ。
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みそしる - めっちゃ面白かったです!くっついた後が気になる……‼️ (8月22日 23時) (レス) @page17 id: b003276cbd (このIDを非表示/違反報告)
りり - 夢主ちゃんまじですきだ、、、 (2022年10月23日 19時) (レス) @page11 id: 2581bed166 (このIDを非表示/違反報告)
りり - 続きありがとうございます!!めちゃくちゃいいです、、!!!! (2022年10月15日 18時) (レス) @page9 id: 2581bed166 (このIDを非表示/違反報告)
りり - ああすきっす (2022年10月14日 18時) (レス) @page8 id: 2581bed166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘宮 | 作成日時:2022年10月9日 16時