政略結婚かと思ったら、恋愛結婚でした【梵天】2

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そんな時でもいつもと変わらず朝はやってくる。

炊きたてのお米と漬物、豆腐とわかめのお味噌汁、卵焼き。昨日のことに少しだけ謝罪の気持ちを込めて、マイキーさんの好む和食にした。

彼は少食だから、そのことを考慮して主菜は付けなかったぶん、質素に見えるかもしれない。

｢･････おはよ｣

｢おはようございます｣

ぷい、と顔を背けて洗面所に行ってしまう。

朝食を食べ終わって、身支度を整えている間までずっと視線は合わないままだった。

｢じゃ、行ってくる｣

スーツ姿で、マイキーさんは呟いた。

｢行ってらっしゃい｣

どことなく距離があるのが辛かった。

踵を返して、出ていこうとしたが、すぐにピタリと立ち止まって、一瞬思案するような表情をした後。



＿＿＿＿ガリッ


｢･････ッ！？｣


鎖骨から首筋にかけてのあたりに、噛み付かれた。しかもかなりの力で。

｢いたっ、･････っ、痛いです｣

マイキーさんは無言で、そのまま。

｢うぅっ･････ぁっ･････｣

今まで感じたことのない程の強い痛みが襲ってくる。初めての経験に、痛みに耐えられなくて、涙が溢れた。

数秒後、マイキーさんは離れた。

まだ痛みは続いていて、どくどくと血管が脈打っているのがわかる。

｢次昨日と同じようなことしたら･････今度こそ殺すよ｣

底なしの深淵みたいな。真っ黒の瞳で、私を一瞥し、マイキーさんは後ろ手にドアを閉めた。

ガチャン。

監視カメラのレンズが、冷たく光っていた。

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