Always to your side (ページ37)

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　そして沢山食べるチャンミンの為に数枚目の豚肉を揚げていた時、エントランスのインターフォンが鳴った。

「あ、会社の人が来たんじゃない？」
「……あぁ」

　私の言葉にチャンミンは短く歯切れ悪そうにそう答えると、カウンターに寄り掛かっていた体をゆっくりと起き上がらせる。その時のチャンミンの表情が曇って見えたのは、私には仕事で面倒臭がっているからだと思っていた。
　そしてしばらくすると玄関チャイムが鳴って、チャンミンは小さなため息をつくとリビングから玄関へと向かって出て行った。そんな彼の背中を見つめながら、「開発部は大変だな」と他人事のように……いや、実際部署も違うし他人事なんだけど……私は独り呟いてどんどんとカツを揚げていた。
　あとは切り分けるだけとなったトレイの上の、字の如く山のようなカツを見つめながら私はどうしたもんかと腕組をしていた。付け合せのキャベツの千切りも用意して、ご飯も炊いたしお味噌汁も温め直すだけ。あとはチャンミンが戻ってくるのを待つだけなんだけど……

「何かトラブルかなぁ？」

　資料をもらうだけにしては少し時間が掛かりすぎている事に対して、私は不安が沸きあがっていた。そして頭の中である一つの提案が浮かんでいた。

「そうだ。一緒にご飯食べてもらったらいいんじゃないかな？」

　もし、チャンミンたちの話している内容が企業秘密ものであったとしても、私も同じ会社だから問題ないだろう、なんて軽く考えていた。だけど、違った意味で問題アリになるなんて、この時の私には見当も付かなかった……
　私はエプロンを外すと、チャンミンに声を掛けようと玄関へと繋がるドアに手を掛けた。