Always to your side (ページ36)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:140,023 hit

35 ページ36

「大丈夫だって。資料持って来るだけだから。直ぐ帰るよ」
「そう、なの……？」
「そう。あ！ A、もう油跳ねでヤケドしないようにね？」
「大丈夫よ～」

　私はそう云いながら二枚目の衣付き豚肉を鍋に滑らせると、サッと手を引いてドヤ顔でチャンミンに目を向けた。そんな私に、チャンミンは優しい目をして微笑んでいた。そしてチャンミンは先刻の揚がり過ぎたカツに視線を移すと苦笑いを浮かべる。

「あ～あ……真っ黒じゃん」
「しょうがないじゃない。ソレ、チャンミンのだからね」
「何でだ！？」
「だって、チャンミンのせいでしょ？あんな……」
「あんな……？」

　先刻の甘い雰囲気を思い出し、私は急に恥ずかしくなって言葉を濁した。だけどチャンミンは、私が何を云いたいのか分かっているくせに、口許にイジワルな笑みを浮かべて私の次の言葉を催促して来るんだ。

「もう！イジワルするなら次は生焼けにするよ！」
「あぁ、ヤメテ。ごめんなさい。美味しいトンカツが食べたいよ～」

　口を尖らせた私に、チャンミンは眉根を下げて手を合わせながら情けない声で懇願してくる。男らしかったり可愛かったり……そのギャップに毎回反応しながらも、私は彼と過ごすこんな他愛もない時間に幸せを感じていた。