Always to your side (ページ4)

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「受付の里中さん、だよね？いつも綺麗だけど、今日はいつもに増して綺麗だね」
「は、はぁ……」

　私の顔と名前を合致させる作業を無理矢理中断させてお世辞を云う佐野さんに、私はなんとも曖昧な返事を返すしか出来なかった。私は柵に預けていた体を離すと、警戒するように佐野さんから少し距離を取る。

「船内は退屈？オレは少し夜風に当たりたくてここに来たんだけど……ラッキーだったな」
「ラッキー？」
「あぁ。だって、こんな綺麗な里中さんに会えたんだし」

　佐野さんはそう云って笑顔を絶やさないまま、私のとった距離を簡単に詰めて来る。そして素早く伸ばされた彼の腕は、夜風に素肌を晒す私の肩を抱いた。私は、一瞬の慣れた彼のその行動に驚き体を強張らせる。

「肩……冷たいね。オレでよければ温めてあげるよ？」

　そう云った佐野さんの生温かい手にグッと力がこもる。体だけでなく同じように近づけられた顔に、私は反射的に仰け反った。どう対処すべきか悩んでいると、この場の空気を引き裂くような鋭い女性の声が聞こえてきた。

「司！何やってンのよ！？」

　カツカツとヒールの硬質な音を響かせ、佐野さんの背後から現れたのは……