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「返事を……聞かせてもらってもいいですか？」
約束通り、次の日の仕事終わりで私はチャンミンさんに返事をする為、静かな落ち着いたバーへとやって来ていた。隣同士カウンターに座っていたチャンミンさんが、こっちを見る事なく少し緊張した面持ちでそう口を開いた。返事が決まっていた私は、フゥ……と小さく深呼吸をするとチャンミンさんと同じように正面を向いたまま口を開いた。
「ユノを忘れさせてほしい……と云うより、チャンミンさんがどんな人なのか知りたくなった……と云うのが私の返事です」
「え！？ そ、それって……」
私の答が予想外だったのか、チャンミンさんは本気で驚いた顔をして私の方を振り返った。元々大きな彼の目が、更に大きく見開かれて零れ落ちそうだった。
そして、私が返答の変わりにコクンと一つ頷いた瞬間……
「キャッ！？」
急にチャンミンさんが両手を伸ばしてきたかと思うや、次の瞬間には私は彼に抱き締められていた。私は何が起こったのか分からず、チャンミンさんの腕の中で固まってしまっていた。私を抱き締めているチャンミンさんの両手が、微かに震えているのは私の気のせいじゃない気がする……
「ハハ……どうしよう。嬉しすぎて……ありがとうございます」
少し体を離したチャンミンさんは、そう云って耳まで真っ赤になりながら手の甲で口許を覆った。満面の笑みを浮かべながら照れるチャンミンさんを見て、何故か私も恥ずかしくなり少し俯いた。
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作者名：悠貴 綾
| 作成日時：2017年2月22日 21時
