Always to your side (ページ24)

今日:19 hit、昨日:2 hit、合計:140,038 hit

23 ページ24

「それでボクはAさんを追いかけたい衝動を我慢して、ユノの部屋へと向かいました。事情を聞こうと」

　私は一瞬、体を強張らせた。チャンミンさんの次の言葉は私の知らないユノの話。身を引いた私が聞いていいものか……とも思ったが、気になるのも事実で……
　私は流れに身を任せるように、黙ってそのままチャンミンさんの言葉に耳を傾けていた。

「ボクは初めて、その日のユノが“怖い”と感じましたよ」
「怖い？」
「えぇ。アナタに別れを告げられたユノは、まるで抜け殻……人形のようでした。だけど、心の中は物凄い怒りで溢れていました」
「ユノが……？」
「凄く責めていましたよ。……自分自身を」

　その言葉を聞いた時、何よりも“ユノらしい”と思ってしまった。
　どれだけ私が理不尽な事を云ったりしても、一切怒る事なく対応していたユノ。だけど、自分自身に対しては誰よりも怒りをぶつける人。
　私は、今になって私が彼に与えた影響はとても大きかったのだと思った。

「Aさんの名前を出した瞬間、目で殺されるかと思いましたよ。それからしばらくは……荒れてましたね。いや、『すさんでいた』って言葉の方が合ってるかもしれない程に」
「そんな……社内ではいつも通りで……」
「好きな女性の前で、そんなみっともない姿……見せる筈ないでしょう。あのユノが」
「……」

　チャンミンさんのピシャリと云い放った言葉に、私は何も言い返す事が出来なかった。社内で見かけるユノは何事もなかったかのようにいつも通りで、逆に私の価値はそんなものだったのかとかなり凹んでいた事もあったけど……
　チャンミンさんの言葉で、少しあの頃の刺々しかった心が癒された気がした。