Always to your side (ページ14)

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　不意に名を呼ばれて私は思わず歩みを止めた。そしてゆっくりと声のした方を振り返れば、驚いた顔をした一人の男性が立っていた。彼は『営業部』のチョン・ユンホ……私の“元”カレだった人。
　彼……ユノとはこの会社に入って仲良くなり、長くもなく短くもない期間で私たちの恋は終わりを告げた。その原因は……

「ユノさん？」

　突然、エレベーターホール側から聞こえてきた女性の柔らかい声。私とユノがその声がした方に目を向ければ、そこにはユノの上司である営業部長の娘……鈴木朱里さんが立っていた。そう、私たちが別れる原因となった“彼女”……

「朱里……」
「ユノさん、こんな所でどうしたの？」

　朱里さんはゆっくりと私を通り過ぎ、ユノの傍らに歩み寄ると彼の腕にそっと自らの腕を絡める。そしてパッチリと大きな瞳で、上目遣いに180センチ以上はあるユノの顔を覗きこんだ。

「あ、いや……商品の事で開発部のトコへ行くつもりだったんだ」
「……そう」

　ユノの返事に朱里さんは短くそう返すと、チラリと私の方へと視線を向けて来る。私は少し気まずくなって、何も悪い事はしていないのだけど目を泳がせる。
　私とユノが付き合っていた事はこの会社では誰も知らない……はず。だけど、きっと朱里さんは気付いている。だって、私に向けられる瞳がそれを物語っているから……