とある詐欺師2「福沢諭吉様から何故か構われているけど、何で？」 (ページ30)

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福沢「環境思いは判ったから、早く上がってください。」(泳げないかと思った)『私に敬語使う必要ないですよ。あと注射しませんか？気持ち良くなりますよ、これ。』福沢(違法薬物をすすめるような言い方。) ページ30

海から上がったAは袋を持って船員に渡す。
船員は感謝してまた別の島へ向かった。
船員はゴミ収集の人で竹富島で溜まったゴミをこうして収集しに来ているとの事。
ペットボトルを拾った理由は環境に悪いからだ。
溺れた訳ではないし、普通に呼吸できると潜って見せた。
口から空気がポコポコと出る。
茶色の猫まで潜って楽しそうにする。
現実感の無い事だ。
A「福沢君も水中で呼吸出来ますよ。」
否、できないだろう。
酸素タンクも無しでどうできる。
首を横に振るがAは否定する。
彼が云うには石のおかげでできるらしい。
だが石を持っていないようだが？
口の中に入れているのか？
確認したが口の中にはなかった。
A「注射ですよ。」
注射か。

血管の中か！？

A「肺病の方にお勧めで、水中の中にある酸素を吸収して呼吸できます。」
なるほど。
だが

福沢「溺れた訳ではないのだな。」
　ホッとする。
安心はした。
　何故か彼はまた考えるような複雑な表情をした。
森医師のような、のらりくらりとしたものではなく、真剣に考えているもので同じく掴み所の無い感じだ。
発言に問題は無いと思うが。
俺と乱歩は探偵社創業してからも人を助けている。
警察の手伝いもしているが大抵は刑事や警部の人でAからは間に合っている状態で助ける必要がない。
警察達が乱歩に世話になっているから礼に其方に働いていくと云う始末。
正直、何も返せていない気分だ。
Aが出くわした事件はあったがすぐに解かれてしまった。

　濡れた着物を絞る。
杞憂で終わったのは良いが濡れてしまった。
Aが紙袋から衣服を取り出す。
A「すみません。濡れてしまいましたね。これをどうぞ。」
白シャツと黒ズボン。
竹富島はお手洗いがある。
そこで着替えよう。
感謝して行こうとすると写真を撮られた。
何だ。
いつもの笑顔で「珍しいので」と云った。

A「それでは、さよなら。」
　成田空港で別れようとするAの腕を掴む。
抵抗せずに暫(しばら)く俯いた後「何ですか？」と云った。
　何となく、俺とは違った何かを抱えていそうだった。
たかが数年の付き合いだが、依頼主をあのように叱った。
本来あるべき国、安寧をどのようにするべきか、正しい道を俺より先に判っていて進んでいた。
迷いの無い瞳、温かい人情。
俺にかつて無かったものを全て持っている。
俺はあの時の言葉を一刻も早く消したい。

『綺麗だ。』