好きです （黄赤） ページ5
俺の恋人は、俺よりも少し低い背で、身体は小さいのに響くような美声で歌う。
楽器もできて、少しおっさんぽくて、でも可愛いところもあって、
しゃべることがそんなに多くなくても、安心できる存在。
それがすばるくん。
今日は、俺とすばるくんが付き合って１年の記念日。
「すーばーるーくーん」
「ん？」
ゲームに夢中のすばるくんは一向にこっちを見てくれない。
「ストップ」
俺がゲームを取り上げると、「あぁ〜、いいとこだったのに…」って子供みたいに落ち込むすばるくん。
「今日は何の日か分かる？」
「ん〜…なんだっけ？」
無邪気に笑って首を傾けるすばるくん。
俺は一度咳払いをして姿勢を正しくしてすばるくんと向き合った。
「急にどうした？」
「すばるくん、好きです」
「ん、知ってんで？」
「顔が好きです。歌声が好きです。メンバー思いなとこが好きです」
好きなところを言っているとすばるくんの顔はみるみる林檎のように赤くなった。
「ゲームしてる姿が好きです。すばるくんの笑った顔が好きです」
恥ずかしくなったのか、すばるくんは背を向けて座った。
俺は後ろから小さな身体を抱きしめた。
「すばるくんの全てが好きです」
これが一番言いたかった。
「あほ…最初から言えよ…」
顔を真っ赤にしながらボソッと呟くすばるくん。
「今日で付き合って１年やろ？言いたくなったんや」
「そっか…俺も…好きや。亮の全てが…」
普段あまり好きなんて言わないすばるくんからの『好き』は心を射抜かれた。
「ほんま…すばるくん、可愛すぎ」
俺は覗き込むように優しく口付けをした。
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作者名：渋谷あす | 作成日時：2017年5月11日 1時
