・ ページ40
目覚ましは大きな爆発音だった。
跳ね起きて音の方角を確認すれば、
煙が上がっている。
おそらく革命派が動いたのだろう。
俺としてはログも溜まった事だし、
ここに長居する意味はないので行く末は見届けずに出立するつもりだ。
出航のために帆を張り、
あれこれ準備をしていたその時、
「お前、いつからそこにいた……？」
背後に人の気配を感じて振り返れば、
船のすぐ横の所に身長６mを超える大男。
だが、１番の驚きはその身長でも、
帽子についた可愛い熊の耳でもなく、
こんなに近付くまで俺がこいつの気配を感じなかった事だ。
「少し、尋ねたい事がある」
「何だ？悪いが俺はこの島の人間じゃねェから、
そんなに詳しい事は知らないぞ」
不気味な奴だ。顔から感情が一切読み取れない。
まるで機械の様に無機質な表情。
「俺の見間違いでなければ、
元海軍中将のAだな？何故ここにいる？」
「よく俺の名前と顔を知ってたな」
「お前は、政府内では有名だからな」
どう言う意味でだよ。
もう10年前の人間だぞ、そろそろ忘れてくれよ。
「俺がどこにいようと俺の勝手だ。
お前こそ、何故ここにいる？
七武海の１人、バーソロミュー・くま……‼」
ここには革命軍がいる。
場合によってはサボ達を潰しに来たか。
「安心しろ。指令は受けていない。
よって、お前にも革命軍にも敵意はない」
くまは七武海の中で唯一政府の言いなりに動く男。
逆に、指令を受けてなければ敢えて敵対はしないという事か。
しかし、わざわざこの島に来たのは
何か目的があるとしか思えない。
いつでも刀を抜ける様に足を作り、腰を軽く落とす。
「この島でお前に会ったのは偶然だが、
以前より一度会ってみたいとは思っていた」
「へェ、七武海が俺に？」
俺を見下ろす視線に敵意は感じないが、
好意的かと言われれば微妙なラインだ。
「ところで、旅行するならどこへ行きたい？」
「は……？」
旅行？今のこの現状もある意味旅行中なんだが。
それより、何故唐突にその質問なんだ。
「まァ、強いて言うなら楽しい所……か？」
自分で言うのも何だが、楽しいの定義が曖昧だ。
飯が美味くて風呂に入れればそれで良い気もするが。
「成る程」
この会話の意図は一体何なんだ。俺が首を傾げると、
くまはするりと黒手袋を外す。
俺は咄嗟に刀の柄に手を掛けたが、
出てきたのは肉球のついた可愛らしい手。
そして掌の肉球を軽く振りかぶって、
パンっと俺の乗った船に当てた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朮’(プロフ) - 夜野 海さん» コメント有難うございます！最近は更新が不定期で申し訳ない…。応援有難うございます、頑張ります！！ (2020年11月10日 0時) (
レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
夜野 海 - いつも更新お疲れ様です！この作品が好きでいつも楽しく拝見させて頂いてます！！これからも応援してます！！ (2020年11月9日 22時) (レス) id: 65c0a5960a (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» シリーズ1作目の中で男って書いてましたね、すみません。そんな訳で男です。これからも頑張ります！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます！了解しました！これからも頑張ってください！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: cc31b092a3 (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» コメント有難うございます！自分的には一緒にお風呂に入っちゃうので男かなァと思っていますが、容姿等は皆様のご想像にお任せしています！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朮’ | 作成日時：2020年10月9日 14時
