・（革命軍 side） ページ39
(革命軍 side)
コアラをここまで連れてきた男が帰っていく背中を
サボはいつまでもぼんやりと眺めていた。
まだ１人で立つのが難しいコアラは、
ハックに支えられながらサボの隣に向かう。
「そろそろ明日の作戦について話し合うって」
話しかけたなもやや上の空なサボは、
もはや背中も見えないと言うのに視線だけを外に向けている。
「なァ、コアラ。あの人の名前はなんて言うんだ？」
「名前？あ、名前聞くの忘れちゃった……」
「俺、どこかで会った事がある気がするんだ」
「どこかの革命家とか？」
「いや、よく思い出せねェ」
名前も知らず、さっき初対面のはずの男。
それなのに、とてつもなく懐かしいと感じていた。
「あの人、結構強いと思うよ」
「何でそんな事が分かるんだ？」
「う〜ん、あの人の背中に乗せてもらってた時、
結構体つきがしっかりしてる感じがしたから」
コアラ曰く、筋肉もバランス良くついていたし、
体幹も良かったらしい。あとは雰囲気だそうだ。
「強い……か」
眉間を抑え、もう少しで出てきそうな何かを
必死に引っ張り出そうとするが、
「サボ、無駄な思考は明日の任務の妨げになるぞ」
「そうだな」
ハックのその言葉で、サボは一度考える事をやめた。
今は目の前の問題を片付ける方が大切だ。
作戦会議のためのテントに向かう途中、
ふと、口が勝手に動いて小さな声で１つの言葉を紡いだ。
「……センセー」
「––––サボ君？何か言った？」
「ん？いや、何も言ってないと思うが……」
無意識の内に出たその言葉は、
サボの耳にもまともに入る事はなく、溢れ落ちた。
歩きながら空を見上げると、
「今日は星がよく見えるな」
まだ完全に日は落ちていないものの、
半分以上夜に変わった空には星が光っている。
「サボは昔から星の事は詳しかったな」
「星座とか、色々知ってたもんね！」
「勉強した記憶はないんだけどな」
サボには昔の記憶がない。
それでも、何故か星の事をよく知っていた。
他にも、海の事とか、キノコの事とか、船の事とか、
理由は分からないが、色んな事を知っていた。
「誰か、昔、誰かと一緒に、
星を見た様な気がするんだけどな……」
夜空の下で地面に寝そべって、
星の話をしてくれた人の顔には黒いモヤがかかっていた。
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朮’(プロフ) - 夜野 海さん» コメント有難うございます！最近は更新が不定期で申し訳ない…。応援有難うございます、頑張ります！！ (2020年11月10日 0時) (
レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
夜野 海 - いつも更新お疲れ様です！この作品が好きでいつも楽しく拝見させて頂いてます！！これからも応援してます！！ (2020年11月9日 22時) (レス) id: 65c0a5960a (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» シリーズ1作目の中で男って書いてましたね、すみません。そんな訳で男です。これからも頑張ります！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます！了解しました！これからも頑張ってください！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: cc31b092a3 (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» コメント有難うございます！自分的には一緒にお風呂に入っちゃうので男かなァと思っていますが、容姿等は皆様のご想像にお任せしています！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朮’ | 作成日時：2020年10月9日 14時
