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コアラと名乗った革命軍の彼女は、
東の外れにある集落で仲間と合流する予定だったらしい。
人目に付く事を避け、森を抜け、
目的の集落に着いたのは日暮れ直前だった。
「そこの者、止まれ‼」
集落に近づこうとした俺達を止めたのは、
珍しい事に魚人の男だった。
魚人を見るのなんて10年以上ぶりだ。
「ハック！」
背中でおとなしくしていたコアラが身を乗り出す様に
その魚人に声をかければ、
「コアラ！無事だったか‼」
どうやら魚人はハックという名前で、
コアラと同じ革命軍側らしい。
「はい、それじゃあお大事に」
俺は背中のコアラをバックに押し付ける様に預けて
退散しようとしたが
「ちょっと待ってくれ。少し、あんたと話がしたい」
誰だか知らないが、ハックやコアラとは別の新しい声が聞こえると同時に俺の肩をグッと掴まれる。
面倒に思いながらも振り向くと、
そこにいたのはシルクハットを被った青年。
「明日の朝には決着がつく。
それまでは俺達の拠点にいた方が安全だぞ」
「サボ……？」
「えっ––––⁉」
思わず口にしたその名前は、
10年前に死んだガキの名前だった。
目の前の青年をひと目見た瞬間、
何故か俺は彼の事をサボだと感じたのだ。
「確かに俺の名前はサボだが……。
あんた、どこかで会った事があったか？」
偶然か否か、目の前の青年の名前はサボという。
しかし、あいつが俺を見て分からないなんて事があるだろうか。
そして何より、サボは、
あいつはあの時、死んだはずだ。
「悪いな、俺、昔の記憶がねェんだ。
もし俺の知り合いなら、何か俺の事知らないか？」
昔の記憶がない……？
俺は改めて目の前の青年をまじまじと見た。
そしてその中で最も俺の目を引いたのは
「その、腰の小太刀は？」
青年が腰に下げていた小太刀だ。
見間違いななければ、
いや、10年経っても見間違えるはずがない。
その小太刀は、
間違いなく俺があいつに預けたものだ。
「俺は剣士じゃねェんだが、昔から持っててな。
理由は分かんねェけど大切なもんな気がするんだ」
てっきり海の底に沈んでしまったと思っていた。
小太刀も、お前も。
「そうか、いや、他人の空似だったらしい」
俺は少し笑いながら嘘をついた。
生きてさえいてくれたなら、それで良い。
サボには今の仲間がいるなら、それで良い。
孤独でないなら、それで良いんだ。
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朮’(プロフ) - 夜野 海さん» コメント有難うございます！最近は更新が不定期で申し訳ない…。応援有難うございます、頑張ります！！ (2020年11月10日 0時) (
レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
夜野 海 - いつも更新お疲れ様です！この作品が好きでいつも楽しく拝見させて頂いてます！！これからも応援してます！！ (2020年11月9日 22時) (レス) id: 65c0a5960a (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» シリーズ1作目の中で男って書いてましたね、すみません。そんな訳で男です。これからも頑張ります！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます！了解しました！これからも頑張ってください！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: cc31b092a3 (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» コメント有難うございます！自分的には一緒にお風呂に入っちゃうので男かなァと思っていますが、容姿等は皆様のご想像にお任せしています！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朮’ | 作成日時：2020年10月9日 14時
