・ ページ20
「海賊達は定期船を襲ってる最中のはず、まさか貴方も同業者？」
「いや、それに海賊なら俺が全員まとめて縛った。
それと、海軍に連絡したから軍艦が来る」
「なっ、グロッキーを倒したって言うの⁉」
あの程度なら俺じゃなくて
そこらの賞金稼ぎとかでも倒せそうな気はするが。
と、そんな事よりも。
「今なら見なかった事にしてやるから、
大人しく手を引いた方がいいぞ」
「嫌よ、これは私のお宝なの……！」
これはまた随分と諦めの悪い。
見た所、年はチビ助と同じくらいか。
しかし、海賊をターゲットに盗みを働くとは。
普通の泥棒よりよっぽどリスクがある。
「こういう危険な事はしない方が良いと思うが」
「余計なお世話よ！」
うん、気が強いな。
海賊相手に泥棒やってるだけはある。
しかもこうやって話している間も、
海賊達のお宝を袋に詰めてるし。
テキパキと手際よくお宝を移してある少女を
呆れつつも眺めていると、ふと左腕に目がいった。
怪我？いや、刺青か？
「その腕……」
左腕の、服の袖で隠れている方の部分。
そこ部分に手を伸ばしたその時
––––パシンッ‼
少女は俺の手を思いっきり払い除け、
肩の部分を右の手で覆い隠した。
「レディの身体に許可なく触れるなんて、
失礼なんじゃない？」
「あァ、そりゃ失敬」
今の動き、そして肩を隠した時の瞳と動揺具合、
少女が何かを隠している事は明白だった。
しかし、俺を睨む今の瞳は
これ以上踏み込むなと言わんばかりだ。
どんな事情を抱えているのかは知らないが。
まだ年若い少女が海賊相手にこんな事をしているのには、裏に何かあるのだろう。
「ここから１番近い基地から直行して、
到着までの残り時間は後30分から40分程度」
「な、何？」
「この船には脱出用の小型帆船が1つ積んである。
それを下ろして逃げるなら今しかないぞ」
そう言って俺が笑うと、
少女はすぐさまお宝を移した袋を持って
宝物庫を駆け出した。
小型とは言え、
船を下ろすのは大変そうだからと手伝ってやれば、
「手伝っても１ベリーだってあげないわよ」
なんて言われてしまった。
「別に良いよ、金には困ってない」
「……羨ましい限りの台詞だわ」
最後にそう言った彼女は、
どこか寂しそうな瞳をしていた様に感じる。
「船の操縦上手いな」
帆船は風と波を上手く利用してすいすい進む。
彼女が航海術に精通している証拠だ。
……さてと、空っぽになった宝物庫を
どう説明するか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朮’(プロフ) - 夜野 海さん» コメント有難うございます！最近は更新が不定期で申し訳ない…。応援有難うございます、頑張ります！！ (2020年11月10日 0時) (
レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
夜野 海 - いつも更新お疲れ様です！この作品が好きでいつも楽しく拝見させて頂いてます！！これからも応援してます！！ (2020年11月9日 22時) (レス) id: 65c0a5960a (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» シリーズ1作目の中で男って書いてましたね、すみません。そんな訳で男です。これからも頑張ります！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
麗奈(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます！了解しました！これからも頑張ってください！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: cc31b092a3 (このIDを非表示/違反報告)
朮’(プロフ) - 麗奈さん» コメント有難うございます！自分的には一緒にお風呂に入っちゃうので男かなァと思っていますが、容姿等は皆様のご想像にお任せしています！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朮’ | 作成日時：2020年10月9日 14時
