Cherry blossoms ページ3
─shione'side─
グラウンドでは、試合形式での練習が行われていた。
春奈ちゃんがベンチに居た子に部活の見学だと言うと元気そうな女の子が笑顔で私たちを迎えてくれた。
「2年の大谷つくしです。
部活の見学なら大歓迎。ベンチで座って見ててね。」
そういうと大谷さんは他のマネージャーの子と一緒に何処かに行ってしまった。
「あっちにいるのがゴールキーパーの円堂さん。今、シュートを決めたのが豪炎寺さんで‥‥‥。」
テレビでは見たことがあっても名前まではよく知らない私に春奈ちゃんは特徴とともに選手のことを教えてくれる。
「遅れてすまない！」
何処からか声がした。
後ろを振り向くと副会長が制服のままグラウンドに来ていた。
「あっ、風丸さん。お久し振りです。」
「音無か。久し振りだな。
横の奴は？」
春奈ちゃんと副会長が挨拶をする。副会長は私に目を向ける。
「麻宮汐音ちゃんです！
此方は、サッカー界では蒼き疾風と呼ばれる風丸一朗太さん。」
「風丸一朗太です。よろしく。」
『麻宮汐音です。よろしくお願いします、副会長。』
「副会長じゃなくていいよ。
俺堅苦しいの好きじゃないからさ。」
爽やかな笑顔を浮かべながら手を差し出されたので私も手を差し出して握手をする。
女の子にモテそうな人だなどうやら思った。
「おーい！風丸、早く着替えてこいよ。」
グラウンドからゴールキーパーの円堂さんが風丸さんに叫ぶ。
風丸さんは、返事をしながら私たちにゆっくりしていくよう言った。
突然、勢いよく春風が吹く。
グラウンド近くに植えられている桜の花弁が風に乗せられて四方八方に舞い上がる。
花弁は私たちの方にも降りそそぐ。
何となく目線を前に向けると桜のヴェールに包まれたかのような風丸さんがいた。
とても美しかった。
手を伸ばして触れたいと思った。だけど、触れてしまったら消えてしまいそうなほど儚い幻想的な光景を見ているかのようだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彩華 | 作成日時：2021年4月11日 23時
