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十一 ページ11
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その時………
階段を、駆け上がる音が聞こえてきた………
「失礼致しやす！」
「伊佐治か。入んな。」
「へい！」
障子が開き…
目明かしの伊佐治が、姿を現した。
「失礼いたしやす。」
「どうした？」
「また…出やしたんで。」
「何？」
伊佐治は、口を開きかけて…
その場に、智之介がいることに気づいた。
「先生…いらっしゃったんですかい。」
「こんばんは。」
「先生には、この件…助っ人を、お願いしている。構わねぇから、言ってみな。」
「へい。それじゃあ…」
伊佐治の話によると………
相葉楼から程近い、橋の袂(たもと)で…
物乞いの男が一人…
斬り殺されていたそうだ。
「渡辺様が…二宮様を、お呼びでございやして。」
「渡辺様が？」
和馬は、素早く立ち上がると…大小(長刀･短刀)を、腰に差した。
「先生。」
「はい。」
智之介も、立ち上がり…
大小を、腰に差した。
「雅吉さん。後で必ず、戻ります。このまま残すには、この鯛飯は…惜しい。」
「お待ち致しております。いってらっしゃいませ。」
雅吉は、和馬と智之介に一礼した………
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作者名：愁(ｼｭｳ)
作成日時：2016年6月8日 19時
