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二 ページ2
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その時………
「先生。お目覚めでございますか？」
「あぁ。今、目が覚めたところだよ。」
「入っても、よろしいでしょうか？」
「構わないよ。」
「では、失礼致します。」
障子が、音もなく開き…
一人の男が、流れるような所作で、部屋の中へ入って来た。
本多髷(ほんだまげ)姿の、この男。
名を…
潤弥(じゅんや)という。
薬種問屋･松本屋の次男。
松本屋は、有名な大店(おおだな)である。
潤弥は、幼い頃から病弱で…
潤弥の父･藤七(とうしち)が、愛息の身体のために、剣術を習わせた。
それが…
無外流の道場で、智之介と出会うきっかけであった。
自分よりも、三つ年上の智之介が…
あまりにも素晴らしい、剣術の技を披露するのを見て…
智之介に、いたく心酔し…
智之介が道場を開いた日から、智之介の元へ押しかけ…
住み込みで、家事一切を切り盛りする代わりに…
智之介から無償で、剣術を習っているのである。
「先生。おはようございます。」
「おはよう。何事だ？」
「二宮様が、おみえにございます。」
「和馬(かずま)さんが？」
「いかが致しましょう？」
「会おう。客間に、お通ししてくれ。」
「かしこまりました。」
潤弥は、智之介に深々と一礼し…部屋を出て行った。
「何事だろう…？」
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作者名：愁(ｼｭｳ)
作成日時：2016年6月8日 19時
