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side K ページ14
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Aが、ヒロオミと出会ってから…
二人が、時々…ココで飲む事が、増えた。
ガキの頃から、Aは…
父子家庭の長女として、家族第一で生きてきた。
自分のことなんて、二の次で…
恋愛らしい恋愛も、ほぼなかったんじゃないかと思う。
そんなこいつが、今…
俺の目の前で…
人気絶頂のヴォーカリスト・登坂広臣と、満開の笑顔でカクテルを飲んでいる。
長い付き合いの中で、初めて見るAの表情。
ハードル、ハンパなく高い相手だけど。
Aが、幸せになるなら…
俺は、全力でアシストするよ。
それから、二ヶ月くらい経ったかな。
ヒロオミのツアー中に、一人で現れたA。
「和也。」
ブルドッグのグラスの口を、指でなぞりながら…俯いたままのA。
言わんとする事は、手に取るように分かる。
「……惚れちゃった？」
「えっ…」
鳩が、豆鉄砲……の見本みたいな驚き顔で、俺を見つめるA。
「すこぶる高いハードルだけど、チャレンジしてみれば？」
あっちも、満更でもないかもよ？
「……無理だよ。」
「何で？」
「“何で？”って…」
「言わなきゃ、後悔すんじゃねぇの？」
「でも…」
「あの人達の歌にも、あんじゃん。“人生、一度きり”……ってさ。」
「……」
「まぁ……結果は、責任持てないけどね。」
「カズ！」
ようやく笑ったAに……ホッとした。
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作者名：愁(ｼｭｳ)
作成日時：2016年7月27日 16時
