八月二十九日【十一日目】 ページ20
高度6000mを超えたころ、狂気山脈はその姿を大きく変える。
あまりの強風のためか、または地質学上の影響なのか、
すべての雪が吹き飛ばされた漆黒の山脈が現れた。
また、視界の果てまで高峰群が続いている。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
漆黒の山脈を無数の人影が列をなして登っているのだろうか。
複数のカラフルなウェアが重だるそうに歩いている。
山が鳴動した。
ずるり、と山が身じろぎ、一人、また一人と谷に消えていく。
漆黒の山脈に無数に空いた洞に飲み込まれた人たちが無残な姿で吐き出されていく。
漆黒の谷が、見る見るうちに虹色の谷へと変貌していく。
そんな谷の中に、見つけてしまったのだ。
＿＿＿＿＿＿＿【自分自身】を、【自分自身のウェア】をはっきりと。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
嫌な夢だった。
頬から首筋に冷たい汗がつうっと落ちる。
周りを見渡すと、皆一様に脂汗を掻いて 跳ね起きていた。
「……嫌な夢見でしたね」
「いや？アツカッタダケダケド？」
『南極の高度6000mでよくそんなことが言えるな』
「どうしたんだ、え、待ってくれ。
……夢を見たのか？」
コージーが信じられないものを見るような目で見る。
その言葉に頷き、コージーに続きを促した。
「ど、どんな夢だった？」
躊躇いがちに譲君が口を開いた。
「……自身が死ぬ夢です」
「ま、まるで山が生きているようで、人を食べていくような夢でした！」
「なんてことだ……僕も同じ夢を見た。最近よく見る悪夢だ」
「あなたは見ていないの？」と、梓がジゴローに聞いた。
「俺はまあー、同じような夢……かな？」
「……ありえない。同じような悪夢を全員が見るなんて、医学的、科学的に考えられないわ……！」
「全員が同じタイミングで目が覚めたのも奇妙ですね」
『あまりいい夢ではなかったし、縁起悪いな』
コージーの顔が心なしか青い。
「まあ、それでも今日の登山にあまり関係はないだろう」
あまりその言葉に安心が出来ないのは、ただただ 予知夢という言葉を信じる日本人特有のアレなのかはわからない。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
降魔(プロフ) - 花筐さん» 神崎さんの事は信じないのに浴衣シグの言う事は信じるんですね (2020年6月4日 9時) (
レス) id: 6d6843d9f1 (このIDを非表示/違反報告)
みとん - 花筐さん» この人だったらいちいち、「○○より♪」とかいいます？証拠ない癖に。その判断で人の精神を壊す壊さないが決まるんです！その一言で！！....もうやめてください。 (2020年5月18日 18時) (レス) id: b711861770 (このIDを非表示/違反報告)
桜にゃんこ＠crew(プロフ) - 花筐さん» 勝手に貴方のコメントを使ってしまいました。本当に申し訳ありません。その部分は削除して、作品にはパスワードをかけました。本当にごめんなさい。 (2020年5月10日 2時) (レス) id: f7f2e0dcb3 (このIDを非表示/違反報告)
みるく餅(プロフ) - 花筐さん» 酷い、酷すぎる。証拠あります？勝手な思い込みでそこまで言ったんならあなたの罪はものすごく重いですよ。 (2020年5月10日 1時) (レス) id: bf52b07c83 (このIDを非表示/違反報告)
花筐 - 完結させなくていいですよ。誤解されたのも貴方の不注意でしょ？出ていってくださいよ。 (2020年5月1日 17時) (レス) id: 41d66ddf2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神崎流華 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kannzakiluka/
作成日時：2019年8月22日 3時
